【うつ病・パニック障害】複数県をまたぐ転居と過酷な労働環境で症状悪化。重症度が認められ障害厚生年金2級を勝ち取った事例

結果&年金額
- 結果: 障害厚生年金 2級(事後重症認定)
- 受給額: 年額 1,206,999円(基礎年金 831,700円 + 厚生年金 375,299円)
- 初回振込額: 301,747円(申請翌月からの3ヶ月分)
※ご主人の収入要件等により配偶者加算は対象外となりましたが、2級決定により障害基礎年金と障害厚生年金が併給される形となりました。
相談時の状況
ご相談者は30代の既婚女性(A様)。関東にお住まいだった数年前、原因不明の体調不良から複数の内科を受診し、最終的に精神科で「うつ病・パニック障害」と診断されました。
その後、ご家庭の事情により関東から東海、そして現在の東北地方へと度重なる転居をご経験されています。見知らぬ土地での生活ストレスに加え、東北転居後に就いた自動車工場での勤務(夜勤、騒音、強いにおい、立ち仕事など)が引き金となり症状が急激に悪化。わずか5ヶ月で退職を余儀なくされました。 ご相談いただいた当時は、意欲が著しく低下し「1日中布団の中で過ごす」状態。他人の運転する車には乗れず、希死念慮も現れるなど、日常生活に著しい支障をきたしていらっしゃいました。
社労士による見解
ヒアリング時点での大きなポイントと戦略は以下の3点でした。
- 初診日の保険制度と目標等級: 関東のクリニック初診時、働きながら「厚生年金」に加入していたため、幅広い等級がある障害厚生年金の対象となることが確認できました。当初の申請方針としては、手堅く「3級」を狙う見立てをしていました。
- 複数県にまたがる転院の壁: 関東→東海→東北と3つの病院を渡り歩いているため、病歴の連続性の証明や、過去の病院での診断書取得が最大のハードルになると推測しました。
- 遡及請求(過去分の一括受給)への挑戦: A様のご希望もあり、障害認定日(初診から1年6ヶ月後)時点での遡及請求も同時に行う方針としました。当時のカルテが残っているか、遠方の病院が協力してくれるかが鍵でした。
受任してから申請までに行ったこと
A様は抑うつ状態が強く、お約束のヒアリングに対応できない日もありましたが、LINE等を活用し、ご本人の体調に合わせて慎重に伴走しました。
- 遠方クリニックへの直接交渉と診断書手配: 遡及請求のため、関東の1件目のクリニックへ直接電話交渉を行いました。受付担当者および医師と直接やり取りを行い、作成承諾を獲得。遠隔手続きとなるため、レターパックや当事務所立替での現金書留を駆使し、認定日当時の診断書を無事に回収しました。
- 現在の重症度を伝える申立書の作成: 2番目・3番目のクリニックへの通院経緯、予期不安やパニック発作の深刻さ、事務職としての復職を試みるも再び休職に至ってしまった事実などを詳細に聴き取りました。就労が極めて困難な「現在の状態」を審査側に強く訴えかける申立書を作成しました。
- 年金機構からのイレギュラー対応: 申請後、年金機構より「配偶者加算の取り消し(ご主人の年収要件超過等のため)」「申立書への年月日追記」「診断書原本の再提出」といった追加指示がありましたが、A様と連携して迅速にリカバリーし、審査の滞りを最小限に抑えました。
結果に対する社労士の感想
当初の申請方針では「3級・遡及あり」をメインシナリオとして想定していましたが、最終的な結果は「障害厚生年金2級(事後重症)」となりました。
苦労して遠方の病院から取り寄せた遡及用の診断書でしたが、残念ながら障害認定日当時の症状は等級に該当しないと判断され、過去分のまとまった一時金の受給には至りませんでした。精神疾患の審査においては、過去のカルテの記載内容(当時、就労ができていたか等)によって遡及が認められないケースは実務上少なくありません。
しかし、その一方で現在の状態については、当初見込んでいた「3級」の壁を越え、より上位である「2級」として高く評価(認定)されました。 これは、度重なる環境変化による悪化の経緯や、現在の「就労不能・日常生活への著しい支障」という実態を、現在の診断書と申立書でしっかりと審査側に伝えきれた成果だと自負しています。
遡及一時金こそ逃したものの、2級が認められたことで、基礎年金と厚生年金を合わせて「年額約120万円」という手厚い保障を将来に向かって継続して受け取れることになりました(3級の場合は最低保障額の約61万円でした)。 結果的に見れば、今後のA様の生活基盤をより強固に守る、大成功の着地になったと感じています。この年金が心の支えとなり、A様が焦らず安心してご自身の治療と回復に専念できることを心より願っております。
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