障害認定日とは?初診日からの「1年6か月ルール」と例外を社労士が解説
目次
障害年金の申請を検討する際、重要な基準となるのが「障害認定日」です。
障害認定日とは、障害の程度を認定・審査する基準となる日のことであり、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」と定められています。
ただし、初診日から1年6か月以内に症状が固定した場合や、人工関節の挿入、人工透析の開始などに伴う所定の条件を満たした場合は、1年6か月を待たずに障害認定日として扱われる特例があります。
この記事では、障害認定日の定義や特例の適用条件、認定日を過ぎてから申請する際の仕組み(認定日請求と事後重症請求)について、社会保険労務士が解説します。
障害認定日とは?なぜ重要なのか
障害年金は、障害の原因となった病気やケガで初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)に、すぐ申請できるわけではありません。障害の状態がどのように経過するかを見極める期間が必要となるためです。
この障害の状態を認定・審査する基準日が「障害認定日」であり、原則としてこの日以降に障害年金の請求手続きを行います。
原則と「治った日」の考え方
障害認定日は、原則として初診日から起算して1年6か月を経過した日です。
たとえば、初診日が2024年4月1日の場合、障害認定日は2025年10月1日となります。
1年6か月以内に症状が固定した場合
初診日から1年6か月以内であっても、傷病が「治った日」がある場合は、その治った日が障害認定日となります。
ここでいう「治った日」には、症状が固定し、治療効果が期待できない状態に至った日も含まれます。必ずしも、病気やケガが完全に回復した日だけを意味するわけではありません。
参考:障害認定日|日本年金機構
社労士の視点:認定日を計算する前に「初診日」の特定が最優先
障害認定日を正しく算出するためには、スタート地点となる「初診日」が正確に確定している必要があります。実務上、この初診日の認識をご自身で誤っているケースは非常に多く存在します。
当事務所で以前ご相談をお受けしたケースです。その方は「初めて精神科を受診した日」を初診日だと思い込んでおられ、その前提で認定日を計算しようとされていました。
しかし、当事務所で生活歴や病歴を時系列で詳しくお聞きしていく中で、「精神科を受診する直前、仕事中に決定的な体調不良(激しい動悸と不眠)を起こし、思わず駆け込んだ近所の内科がある」という事実が判明しました。
ご本人は「内科を受診したのは単なる風邪や一時的な不眠のためであり、自分はメンタルの病気で内科に行ったつもりはない。だから障害年金とは一切関係がない」と思い込んでおられました。精神疾患に対する先入観から、「精神科・心療内科以外は初診日になり得ない」と自己判断されていたのです。
しかし、その内科での受診理由(動悸・不眠等)が後に診断される精神疾患の初期症状とみなされ、最終的にその内科の受診日が初診日として認められました。
「専門の科を受診した日」ではなく、「その不調や症状のために、診療科を問わず初めて医療機関を受診した日」がいつなのかを思い出すことが最優先です。
診察券や手帳、当時の領収書、健康保険の利用明細などを手元に集め、「最初に体に異常を感じて病院に行ったのはいつか」を時系列でメモすることから始めてみてください。自己判断で特定の受診を除外せず、まずはすべての受診歴を専門家に提示することが、正しい障害認定日を把握する第一歩となります。
初診日の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫≫「障害年金の初診日とは?証明方法とよくあるつまずき」はコチラ
1年6か月を待たずに判定される「障害認定日の特例」
障害認定日の特例とは、特定の処置や手術などについて所定の条件を満たした場合に、初診日から1年6か月が経過する前でも、障害認定日として認められるルールです。
特例となる日が初診日から1年6か月を経過した日より後になる場合は、原則として初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。
主な特例の適用条件と障害認定日
- 人工関節・人工骨頭を挿入置換した場合:初診日から1年6か月以内に挿入置換した日
- 心臓ペースメーカー・植え込み型除細動器(ICD)・人工弁を装着した場合:初診日から1年6か月以内に装着した日
- 人工透析療法を行っている場合:人工透析療法を初めて受けた日から起算して3か月を経過した日。ただし、その日が初診日から1年6か月以内にある場合
- 肢体を切断・離断した場合:原則として、初診日から1年6か月以内に切断・離断した日。障害手当金の場合は、創面が治癒した日
- 遷延性植物状態(遷延性意識障害)の場合:所定の6項目に該当する状態が3か月以上継続し、医学的観点から機能回復がほとんど望めないと認められる場合の、症状が固定した日
これらは主な例です。実際の適用可否や日付は、処置・手術の内容、初診日からの経過、診断書の記載などをもとに確認します。
参考:障害認定日|日本年金機構
社労士の視点:特例要件は認定基準に沿った厳格な確認が必要
特例が適用されれば、初診日から1年6か月を待たずに早期申請手続きを進めることが可能です。ただし、特例の適用には「初診日からの期間」や日本年金機構の認定基準に沿った厳密な確認が不可欠です。
たとえば人工透析の場合、単に初診日から1年6か月以内に透析を開始していればよいわけではありません。「透析開始から3か月を経過した日」が、初診日から1年6か月以内にあるかを確認する必要があります。
初診日から2年後に透析を開始したような場合は、この特例によって障害認定日が透析開始後に変わるわけではありません。障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日となり、透析開始後の状態については、事後重症請求などを検討することになります。
また、遷延性植物状態の場合も、単に意識障害が生じてから3か月が経過すれば、一律に認められるわけではありません。「自力で移動できない」「自力で食物を摂取できない」など、指定の6項目に該当した日が起算日となります。その状態が3か月以上継続し、機能回復がほとんど望めないと認められることや、診断書で起算日と症状が固定した日を確認できることが重要です。
基準を正しく理解して、手続きを進めることが大切です。
障害認定日を過ぎてから申請する場合
障害認定日がすでに過去の日付になっている場合、主な申請方法には「認定日請求」と「事後重症請求」があります。
認定日請求(遡及請求)
障害認定日の障害状態に基づいて請求する方法です。原則として、障害認定日から3か月以内の現症を記載した診断書を提出し、障害認定日の時点で障害等級に該当していたことを示します。
認定日請求が認められた場合、原則として障害認定日の翌月分から年金を受け取れます。ただし、請求が遅れた場合にさかのぼって受け取れる年金は、時効により最大5年分が限度となります。
なお、障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、原則として、請求日前3か月以内の現症を記載した現在の診断書も必要になります。
遡及請求については、こちらの記事で詳しく解説しています。
≫≫「障害年金の遡及請求とは?最大5年さかのぼるための条件」はコチラ
事後重症請求
障害認定日の時点では障害等級に該当しなかったものの、その後、障害の状態が悪化して等級に該当するようになった場合に、現在の障害状態で請求する方法です。
また、当時のカルテが廃棄されているなどの理由で認定日時点の状態を証明できない場合も、事後重症請求を検討することがあります。
事後重症請求が認められた場合は、請求した翌月分から支給が開始されます。過去の分はさかのぼって支給されません。
参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構
社労士の視点:各請求方法の仕組みと選択時の注意点
認定日請求(遡及請求)は過去の年金をまとめて受給できる可能性がありますが、そのためには、原則として「障害認定日から3か月以内」の状態を証明する診断書が必要です。カルテの保存期間が経過しており、当時の証明が得られない場合は、現実的に認定日請求を行うことが困難となります。
一方、事後重症請求を選択する場合、年金は請求した翌月分からの支給となるため、手続きの準備に時間を要するほど支給開始月が後送りになります。
なお、事後重症請求は、65歳の誕生日の前々日までに請求書を提出する必要があります。老齢基礎年金を繰上げ受給している場合は請求できないなどの条件もあるため、制度上の受給条件を正しく把握したうえで、適切な方針を立てることが大切です。
障害認定日に関するよくある質問
Q. 初診日が確定していない場合、障害認定日はどうなりますか?
初診日が分からなければ、原則となる障害認定日を正確に計算できません。そのため、まずは受診状況等証明書や客観的な参考資料などを用いて、初診日を確認することが最優先となります。
Q. 障害者手帳を取得していれば、すぐに障害年金も請求できますか?
障害者手帳と障害年金は異なる制度であり、認定基準や障害認定日の考え方も異なります。手帳の交付を受けている場合であっても、障害年金の規定に基づき、初診日や障害認定日などの要件を満たしているか個別に確認する必要があります。
Q. 障害認定日の時期に受診していなかった場合、遡及請求はできますか?
認定日請求(遡及請求)を行うには、原則として障害認定日から3か月以内の状態を記載した診断書が必要です。その時期の受診記録がない場合は、当時の障害状態を証明することが難しくなります。まずは医療機関に診断書の作成が可能かを確認し、証明が難しい場合には、現在の状態で申請する事後重症請求を検討します。
Q. 障害認定日請求の診断書は、いつの時点のものが必要ですか?
原則として、障害認定日から3か月以内の現症日が記載された診断書が必要です。障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、請求日前3か月以内の現症を記載した診断書も必要になります。
なお、20歳前傷病で20歳に達した日の状態に基づいて請求する場合などは、診断書の対象期間が異なるため、個別に確認しましょう。
Q. 20歳前に初診日がある場合、障害認定日はいつになりますか?
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金では、障害認定日が20歳に達した日より前にある場合、20歳に達した日(誕生日の前日)の障害状態に基づいて判断されます。
一方、障害認定日が20歳に達した日より後になる場合は、その障害認定日の状態に基づいて判断されます。症状固定や特例に該当する場合もあるため、初診日と傷病の経過をあわせて確認することが大切です。
まとめ:正確な障害認定日の把握と適切な手続きのために
障害認定日は、初診日の確定と合わせて障害年金申請の骨組みとなる重要な概念です。特例の適用可否や、過去にさかのぼっての請求(認定日請求)と現在の状態での請求(事後重症請求)の判断には、専門的な実務知識が必要となります。
ご自身の障害認定日がいつになるのか、特例に該当する可能性があるのか迷われている方は、ぜひ「仙台障害年金365日サポート(社会保険労務士法人 人財経営)」へご相談ください。初診日の確認から必要な手続きの組み立てまで、ご相談者様の状況を丁寧にお伺いしながら、適切な進め方をご案内いたします。
執筆者紹介

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社会保険労務士 下斗米 貴彦
社会保険労務士法人 人財経営/仙台障害年金365日サポート
宮城県仙台市を中心に障害年金の申請支援を行い、これまでに障害年金に関する相談1,000件以上に対応しています。
うつ病・発達障害・双極性障害・統合失調症などの精神疾患をはじめ、さまざまな傷病の申請をサポートしています。
当サイトでは、実際の相談・申請支援の経験をもとに、障害年金の制度や申請時のポイントを分かりやすく解説しています。
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