人工股関節で障害年金を申請する方法を社労士が解説!

あなたは、

「股関節の手術をしてから、以前のように歩くのが難しくなった」
「人工股関節を入れたけれど、お金や仕事のことが不安」
「障害年金をもらえると聞いたけど、自分に受給資格があるのかわからない」

このような悩みを抱えていませんか?

結論、人工股関節を挿入置換された方の多くは、障害年金(3級)の受給対象となります。

しかし、障害年金は手術をすれば自動的にもらえるものではありません。数年前の初診日を特定したり、複雑な書類を揃えたりと、個人で申請するには高いハードルが存在します。

この記事では、人工股関節で障害年金を申請するための具体的なステップと、受取り損ねを防ぐための特例ルール、自己申請で失敗しないための注意点を社労士がわかりやすく解説します。

人工股関節で障害年金を申請する前に知っておきたい基礎知識

人工股関節は原則として3級に該当する可能性がありますが、受給できる年金の種類は「初診日」の年金加入状況によって決まります。

障害年金には、大きく分けて障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。

種類

対象となる人(初診日時点)

等級の範囲

障害基礎年金

自営業、フリーランス、専業主婦など

1級・2級のみ

障害厚生年金

会社員、公務員など(厚生年金加入者)

1級・2級・3級・障害手当金

 

人工股関節で申請する場合、初診日に厚生年金に加入していた方であれば受給できる可能性が高いですが、国民年金ではより重い症状(2級以上)でないと受給が難しいという現実があります。

参考:障害年金(受給要件・請求時期・年金額)|日本年金機構

人工股関節で障害年金を申請する方法・手順

人工股関節での障害年金申請は、主に以下の4つのステップでおこないます。

ステップ1:初診日の特定と保険料納付要件の確認

まずは、股関節の痛みで初めて病院に行った日(初診日)を特定し、年金の加入状況を確認します。

手術日ではなく、初診日が基準です。この日をもとに、保険料を一定期間納めているかを年金事務所で確認する必要があります。

ステップ2:受診状況等証明書の取得(初診日の証明)

初診の病院と手術した病院が異なる場合、初診の病院で初診日の証明書を取得しなければなりません。これを「受診状況等証明書」と呼びます。

カルテが廃棄されている場合は、診察券や当時の領収書、お薬手帳などが代わりの証拠となる可能性があるため、破棄せず保管しておくことが重要です。

ステップ3:診断書の作成依頼

現在通院中の医師に「肢体の障害用」の診断書を依頼します。

人工股関節の場合、以下の点を主治医に正確に記載してもらうことが重要です。

  • 人工股関節を置換した日付(手術日)
  • 股関節の可動域(数値で記載)
  • 日常生活動作への影響(歩行・階段昇降・立ち座りなど)

特に可動域の数値は審査結果を左右します。診断書を受け取ったら、記載漏れや数値の誤りがないか、自身でも確認しましょう。

参照:肢体の障害用の診断書を提出するとき|日本年金機構

ステップ4:病歴・就労状況等申立書の作成

病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの経緯を自分で記述する書類です。記載の

参考:障害年金を請求する方の手続き|日本年金機構

人工股関節ならではの「申請の特例」を知っておきましょう

人工股関節の場合、初診日から1年6ヶ月待たずに「手術日」から申請できる場合があります。

通常、障害年金は初診日から1年6ヶ月経たないと申請できませんが、期間内に手術を行った場合は「手術日=障害認定日」とする特例があります。

項目

通常の障害認定日

人工股関節の特例

判定時期

初診日から1年6ヶ月後

人工股関節の手術日(1年6ヶ月以内なら)

受給開始

認定日の翌月から

手術日の翌月から

 

この特例を知らずに待ってしまうと、数ヶ月〜1年分以上の年金を受け取り損ねる可能性があるため注意が必要です。

人工股関節の障害年金|自己申請で不支給を招く落とし穴3つ

自分で申請する際に陥りやすい、代表的な失敗例は以下の3点です。

「社会的治癒」の判断ミス

幼少期に股関節疾患があった方は、数十年の未受診期間が認められれば、再受診時を初診日とする「社会的治癒」が適用できる場合があります。

これが認められると、再受診時に厚生年金加入であれば障害厚生年金(3級)を狙える可能性があります。

しかし、これを立証するのはとても複雑で、自己申請となると難易度が高いため、国民年金扱いとなって不支給になるケースも見られます。

参考:障害年金制度の見直しについて|厚生労働省

診断書の記載不足

医師は「手術の成功・身体機能の回復」を重視する立場であるため、診断書に日常生活での困難さが十分に反映されないケースがあります。

可動域の数値が改善傾向で記載されていたり、日常生活への支障の欄が簡潔すぎたりすると、実態より元気な状態として審査され、不支給や等級ダウンの原因になります。

診断書を依頼する際は、「階段の昇降ができない」「長時間立っていられない」など、生活上の具体的な困りごとをメモにまとめて主治医に渡すなどの工夫も必要です。

初診日証明の断念

「古いカルテがないから無理」と諦めてしまうケースは多いですが、証明手段はカルテだけではありません。

第三者証明やお薬手帳・診察券・医療費領収書などを組み合わせることで、初診日を証明できる場合があります。

人工股関節での障害年金を申請する際は社労士に相談しましょう

人工股関節を挿入された方は、原則として障害厚生年金3級を受給できる権利があります。しかし、初診日の証明や特例の活用など、専門的な判断が欠かせません。

特に、過去に股関節の治療歴がある方や、少しでも早く受給を開始したい方は、書類を提出する前に一度、障害年金に精通した社労士へ相談することをおすすめします。

障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)