30代男性・発達障害(ADHD/ASD)とうつ病で障害基礎年金2級の遡及請求(障害認定日請求)に成功したケース

結果&年金額
- 決定した年金種類と等級: 障害基礎年金 2級
- 支給決定額: 年額 約81万円 + 170万円
相談時の状況
ご相談者様は30代の男性(Aさん)です。
中学時代にいじめに遭ったことがきっかけで不登校となり、長年にわたり対人関係や社会生活において強い生きづらさを感じていらっしゃいました。
通信制高校を卒業後は、ご家族の配慮のもと父親が経営する会社で在宅勤務をしていましたが、会社が廃業。その後、自立を目指して別の企業へ就職したものの、過度なストレスから深刻な腹痛や吐き気といった体調不良に見舞われ、わずか3ヶ月で退職を余儀なくされました。
以降はご実家でひきこもり状態となり、外出もままならない生活が続いていました。
精神障害者保健福祉手帳の1級をお持ちでしたが、これまでの通院で明確な病名を告げられたことがなく、また病院も数回変わっていたため、「自分は本当に障害年金をもらえるのだろうか?」「初診日がどこになるのか分からない」と深く悩まれていました。ご自身で申請書類一式を取り寄せたものの、複雑な『病歴・就労状況等申立書』の作成や、過去の病院からの診断書取得のハードルが高く、当事務所へ代理申請のご相談をいただきました。
社労士による見解
Aさんのケースでは、「初診日の特定」と「複数にわたる転院歴の整理」が最大のポイントでした。
お話を伺うと、過去約10年前に不眠症でオンライン受診をした履歴や、数年前に東京のクリニックでリモート受診(1回のみ)をした履歴、さらに県外への転居に伴う複数回の転院歴がありました。
障害年金の申請において、オンライン診療のみの受診であっても、年金制度上の「初診日」として認められるかどうかの慎重な判断が求められます。
今回は、数年前の東京のクリニックでのリモート受診を初診日として特定し、手続きを進める方針を立てました。
また、ご家族の会社で働いていた期間がありましたが、「就労できていた=障害の程度が軽い」と審査で誤解されないよう、「親の庇護のもとにあり、一般的な就労による自立した生活とは言えなかったこと」を客観的に証明する必要があると見立てました。
受任してから申請までに行ったこと
代理申請を受任後、以下のサポートを迅速かつ丁寧に行いました。
1.年金記録の調査と初診日の確定
年金事務所にて納付要件(免除期間など)を調査し、問題なくクリアしていることを確認。
2.その後、初診日となるクリニックへコンタクトを取り、『受診状況等証明書(初診日証明)』の取得をサポートしました。
3.医師への丁寧な情報提供と診断書の取得サポート
障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過日)の通院先と、現在の通院先が異なっていたため、2通の診断書が必要でした。
過去の通院先へ遡及用診断書を依頼する際、Aさんご自身ではこれまでの経緯や他院での受診歴をうまく医師に伝えられずトラブルになりかけましたが、当事務所が介入。
詳細な経緯をまとめた参考資料を病院へ郵送し、医師がスムーズに診断書を作成できるよう連携を図りました。
内容に一部不備(記載漏れ等)があった際も、当事務所から直接病院へ訂正依頼を行いました。
4.『病歴・就労状況等申立書』の作成
計2回の綿密なヒアリングを実施。
幼少期からの対人関係の困難さ、不登校の経緯、そして「父親の会社での就労は、家族の特別な配慮があってこそ成り立っていたものであり、一般的な就労能力を示すものではない」という事実を詳細に記載し、実態に即した説得力のある申立書に仕上げました。
結果に対する社労士の感想
転院歴の多さや、初診がオンライン診療1回のみであること、医師とのコミュニケーションのすれ違いなど、手続きの過程でいくつもの壁がありましたが、無事に「障害基礎年金2級」の受給が決定し、遡っての一時金も認められました。
発達障害(ADHD・ASD)やうつ病などの精神疾患を抱える方は、ご自身で複雑な過去の病歴を整理し、医療機関や年金事務所と交渉することが症状を悪化させる原因にもなりかねません。
今回、Aさんが早い段階で専門家である私たちを頼ってくださったことが、確実な受給へ繋がる大きな要因となりました。
この年金が、Aさんの今後の治療と生活の安心、そしてご家族の経済的・精神的負担の軽減に繋がることを心より嬉しく思います。
今回の事例から分かったこと・Q&A
障害年金の申請を検討されている方からよくいただく疑問を、今回の事例をもとにまとめました。
Q1. 初診の病院が「オンライン診療(リモート受診)」で1回しか受診していません。それでも初診日として認められますか?
はい、認められるケースがあります。
対面診療でなくとも、医師の診察を受け、その記録(カルテ)が残っていれば初診日として認められます。
ただし、病院側とのやり取りや『受診状況等証明書』の取得にコツが必要な場合があるため、専門家へのご相談をおすすめします。
Q2. 病院を何度も変えていて、昔の主治医に診断書を頼みづらいのですが……。
障害認定日(過去)の診断書と現在の診断書で、作成する病院が異なることは珍しくありません。
本事例のように、これまでの経緯がうまく伝わっておらず作成を断られそうになるケースでも、社労士が間に入り、客観的な資料を添えて医師に依頼することで、スムーズに診断書を取得できることが多くあります。
Q3. 過去に少し働いていた時期があると、障害年金は不支給になってしまいますか?
就労していた事実だけで直ちに不支給になるわけではありません。
重要なのは「どのような環境で働いていたか」です。
本事例のように、ご家族の会社での勤務であったり、障害に対する特別な配慮(就労継続支援など)を受けていたりする場合は、その実態を『病歴・就労状況等申立書』で正確に伝えることで、受給の可能性を十分に保つことができます。
Q4. はっきりとした病名(診断名)を言われていない状態でも相談できますか?
もちろんです。
ご相談の時点で正確な診断名がわからなくても問題ありません。
ヒアリングを通じて通院歴や現在の症状を整理し、診断書を取得する過程で医師の正式な見解を確認していきます。
まずは「生活や仕事に支障が出ている」という状態のまま、お気軽にご相談ください。
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