50代男性の気分変調症・社会不安障害による障害年金が受給できた事例
結果
事後重症請求が認められ、令和7年5月から「見込額1,732,708円」の障害基礎年金2級の受給が決定した。
相談時の状況
基本情報 50代男性。気分変調症、社会不安障害の診断を受けている。母親と姉との3人暮らし。実家は自営業(小売店)を営んでいる。本人はほぼ無職の状態で、母親からの最低限の生活援助と、自身の貯蓄を取り崩して生活していた。姉とは関係がうまくいっておらず、家庭内で孤立していた。
受診経緯 約12年前(平成23年頃)から、気分の落ち込みや不眠のため、近所の漢方内科・心療内科クリニックに通院を続けていた。服薬治療は継続していたが、主治医は精神科の専門医ではなかったため、障害年金の診断書作成は難しいと断られていた。
発症のきっかけ 約12年前、複数のストレスフルな出来事が同時期に発生したことがきっかけだった。
相談の経緯 姉から「働かないなら家を出てほしい」と強く言われるようになり、家庭内での居場所が完全になくなっていた。しかし、心身の不調から働くことができず、貯蓄も尽きかけていたため、経済的な自立の手段として障害年金の受給を希望し、相談に至った。
社労士による見解
相談者は長年にわたり、精神科専門医ではない医師のもとで治療を続けており、障害年金申請のスタートラインである「診断書」の取得が困難な状況であった。 最優先課題は、障害年金制度に理解があり、診断書作成に協力してもらえる精神科専門のクリニックへ転院することだと判断した。
新しい医師との信頼関係を構築するため、転院後すぐに診断書を依頼するのではなく、数回通院して症状や生活実態を正確に伝えた上で依頼するよう助言した。 初診日(約12年前) は明確であったため、現在の症状の重さで申請する「事後重症」 での手続きが妥当と見込んだ。
ヒアリングで確認した就労不能な状態、対人関係の極端な回避、食事や居室管理といった日常生活能力の著しい低下は、障害等級に該当する可能性が十分にあると考えた。
受任してから申請までに行ったこと
ご依頼いただいてから、申請のお手伝いを完了するまでの流れ
ご相談者様と一緒に、申請の起点となる大切な日(いつ頃から病院にかかられたか)を丁寧に確認することから始めました。その上で、申請に必要な条件(保険料のお支払い状況など)が整っていることもしっかりと確認いたしました。
申請に欠かせない診断書をスムーズにご準備いただくため、専門の医師にご相談いただくことをご提案しました。その際、現在の医師にも事情をご理解いただきやすいよう、お伝えの仕方などを一緒に考え、サポートさせていただきました。
その後、新しい医師からも前向きなお返事をいただけたとお聞きし、安心いたしました。
お手続きを進めるにあたり、お電話で何度かお時間をいただき、これまでの辛かったご経験や、現在の暮らしの様子、困りごとなどを、詳しくお伺いしました。
また、以前の病院への証明書のお願いや、今の医師への診断書のご依頼など、必要な書類集めのお手伝いも並行して進めさせていただきました。
そして2025年の春、皆様にご協力いただいた大切な書類をすべて整え、無事に申請を済ませることができました。
結果に対する社労士の感想
障害年金申請の鍵となる診断書を、精神科専門医ではないかかりつけ医から断られていたという、非常に困難な状況からのスタートだった。
ご本人の不安が強い中、戦略的に専門医への転院をサポートし、新しい主治医の協力(診断書作成の内諾) を得られたことが、支給決定(2025年夏頃確認) に繋がった最大の要因と考える。
ヒアリングで伺った、家庭内での孤立、経済的な不安、そして他者との関わりを極度に恐れる様子 が、申立書や診断書を通じて審査機関に伝わった結果だと感じている。相談者が希望していた「経済的な基盤の確保」に向けた第一歩を支援でき、大変安堵した。決定後、速やかにご本人へ年金額や今後の手続きについて説明し、一連のサポートを完了しました。
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