【受給事例】初診のカルテ破棄・週30時間就労中でも「うつ病・広汎性発達障害」で障害基礎年金2級を受給できたケース

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結果&年金額

  • 決定した年金の種類と等級: 障害基礎年金 2級(事後重症請求)
  • 受給権が確定している年額の合計額: 約81万円

相談時の状況

40代女性のT様は、20年近く前に「うつ病」を発症し、長年生きづらさを抱えながら生活されていました。近年になり現在の主治医から「広汎性発達障害」の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳2級を取得。ご両親の援助を受けながら一人暮らしをしており、日常生活の多く(自炊や身の回りのこと)に支障をきたしている状態でした。

ご自身で障害年金の申請を検討したものの、「初めて受診した病院が20年前であり、記録が残っているか分からない」という不安を抱えていらっしゃいました。また、相談のタイミングで障害者雇用の就労体験(週30時間)を開始しており、「働いていると年金の審査に落ちるのではないか」と強く懸念され、当事務所へご相談いただきました。

社労士による見解

本ケースのお話を伺った際、障害年金を申請する上で「2つの高いハードル」が存在すると見立てました。

初診日の証明(カルテの破棄)

障害年金において最も重要な「初診日」が約20年前でした。医療機関のカルテ保存期間は原則5年であるため、当時の病院に記録が残っていない可能性が極めて高く、別の客観的証拠を探し出す必要がありました。

週30時間の就労状況

精神疾患による障害年金の審査では、「労働能力の有無」が厳しく問われます。週30時間という就労時間は一般就労に近い長さであり、何も対策をせずに申請すれば「日常生活や労働に支障がない(=不支給)」と判断されるリスクが高い状況でした。

しかし、T様は「障害への配慮を前提とした就労体験」であり、日常生活もご家族の援助なしでは成り立たない状態です。初診日の客観的証拠を見つけ出し、職場での配慮状況を審査機関へ正確に伝えることができれば、2級認定の可能性は十分にあると判断しました。

受任してから申請までに行ったこと

審査のハードルをクリアするため、以下のプロセスを戦略的に進めました。

「お薬手帳」による初診日の特定

初診のクリニックには案の定カルテが残っていませんでした。しかし、T様に当時の資料を徹底的に探していただいた結果、2007年(平成19年)2月の日付がある古い「お薬手帳」を発見。これが客観的な証拠となり、無事に初診日を特定し、保険料納付要件を満たしていることを確認できました。

主治医への事前確認と意思疎通サポート

「診断書を書いてもらえるか分からない」というT様の不安を取り除くため、次回の診察時に「ダメ元でも挑戦したい」という明確な意思を主治医へ伝えるようアドバイスしました。結果として主治医からの快諾を得られ、安心して手続きを進めることができました。

「職場での就労状況に関する意見書」の取得

週30時間就労という審査上の懸念点を払拭するため、就労先の企業に「職場での就労状況に関する意見書」の作成を依頼しました。これにより、「無給の体験実習であること」「障害に対する特別な配慮やサポートを受けてようやく就労できていること」を客観的に証明し、申請書類一式に添付しました。

日常生活の困難さを伝える申立書の作成

ヒアリングを重ね、就労はしているものの、帰宅後は疲労で動けずレトルト食品に頼っている実態や、ご両親の援助が不可欠である状況を「病歴・就労状況等申立書」に詳細に反映させました。

結果に対する社労士の感想

「初診日の記録なし」「週30時間の就労中」という、精神の障害年金申請において非常に不支給リスクが高い悪条件が重なった事案でしたが、無事に2級の決定通知が届き、大変安堵いたしました。

古いお薬手帳を諦めずに探し出してくださったT様の努力と、職場の実態を正確に伝える意見書を準備できたことが勝因です。障害年金を受給できたことで、今後の生活費に対する強い不安が軽減され、T様が安心してご自身のペースで就労や治療に向き合える環境を作れたことを、専門家として非常に嬉しく思います。

今回の事例から分かったこと・Q&A

昔のことすぎて、初めて受診した病院にカルテがないと言われました。もう申請できませんか?

A. 諦めるのはまだ早いです。

カルテが破棄されていても、当時の「お薬手帳」「診察券」「領収書」「健康保険の給付記録」などが初診日の客観的証拠として認められるケースがあります。今回の事例のように、ご自宅の奥底から当時の記録が見つかり受給に繋がることは多々ありますので、まずは専門家にご相談ください。

Q. 働きながらだと、うつ病や発達障害で障害年金をもらうのは無理ですか?

A. 働き方や職場の配慮状況によっては受給可能です。

精神疾患の場合、「働いている=障害が軽い」と見なされやすい傾向は確かにあります。しかし、障害者雇用枠での就労、就労継続支援施設での勤務、あるいは一般企業であっても「病気への特別な配慮(業務量の軽減やサポート)」を受けている場合は、その実態を「職場からの意見書」や「申立書」で正確に審査機関へ伝えることで、働きながらでも2級や3級を受給できるケースは十分にあります。

 

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦
社会保険労務士法人 人財経営/仙台障害年金365日サポート

宮城県仙台市を中心に障害年金の申請支援を行い、これまでに障害年金に関する相談1,000件以上に対応しています。
うつ病・発達障害・双極性障害・統合失調症などの精神疾患をはじめ、さまざまな傷病の申請をサポートしています。
当サイトでは、実際の相談・申請支援の経験をもとに、障害年金の制度や申請時のポイントを分かりやすく解説しています。

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