【社労士が解説】発達障害での障害年金の申請について徹底解説します!
目次
こんにちは社会保険労務士の下斗米です。
今回は発達障害の方向けに障害年金申請のポイントについて解説します。
発達障害とは?
厚生労働省のサイトでは、「発達障害は、生まれつき見られる脳の働きの違いにより、幼児のうちから行動面や感情面に特徴がある状態」と記載されています。簡単にいうと、脳機能の発達が関係する障害のことを発達障害と言います。
発達障害の症状は、他の人との関係が築きにくい、コミュニケーションがうまく取れない、注意が集中できない、文字が読みにくい、なかなか覚えられないなどがあげられます。
発達障害には、自閉スペクトラム症、注意欠陥・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)、吃音などが含まれます。
発達障害で障害年金を申請できるか
2010年までは発達障害の人は障害年金を申請できませんでした。
2011年に発達障害が障害年金の対象疾病に含められたことで、障害年金を申請できるようになりました。
障害年金を申請するための大切な2つの条件
障害年金を申請するためには大切な2つの条件があります。それぞれ見てみましょう。
「初診日に年金に加入している」
発達障害で病院を受診した時に、国民年金か厚生年金のいずれかに加入している必要があります。
「受診状況等証明書」という書類があり、初診日がいつでどの病院を受診したかを証明しなければなりません。
「保険料を納付している」
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合委員機関を含む)と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上である必要があります。
20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、この条件は不要となります。
これは簡単に言うと、国民年金の場合は保険料をしっかり納めていないと障害年金を申請できないということを意味しています。
「いずれの条件も満たしている必要がある」
「初診日に年金に加入している」、「保険料を納付している」という2つの条件は必ず満たしている必要があります。例えば、発達障害で他の人からの多くのサポートが必要でも、この2つの条件を満たしていないと、障害年金は申請できません。
等級判定ガイドライン
障害年金には等級があります。1級が重く3級は症状が軽い判定です。初診日に厚生年金に加入していた人のみ3級の判定がありますが、国民年金の場合は1,2級のみとなります。
等級 |
障害の状態 |
1級 |
集団で行動したり人間関係を作ったりコミュニケーションの能力が欠けており、かつ、著しく不適当な行動が見られるため、日常生活への適応が難しく常に援助を必要とする。 |
2級 |
集団で行動したり人間関係を作ったりコミュニケーションの能力が不足しており、かつ、不適当な行動が見られるため、日常生活への適応のために援助を必要とする。 |
3級 |
集団で行動したり人間関係を作ったりコミュニケーションの能力が不十分で、かつ、不適当な行動が見られるため、仕事に著しく制限を受けている。 |
※難しい言葉はできるだけ使わず、分かりやすくしています。
発達障害の判定基準
発達障害で障害年金の認定基準を簡単にすると下記5項目です。
・コミュニケーションが上手に取れず人とうまく付き合えない
・きれいな状態を保つことが難しかったり、お金の管理が難しい
・家族が声をかけたりサポートしないと普通の生活ができない
・仕事をしていても上司に何度もチェックされないと仕事ができない
・職場で毎日ミスがあり、気落ちして仕事に行けなくなった
発達障害は普通に生活しているように見えますが、生きづらさを感じて悩んでいる人もたくさんいます。一人で悩まずに相談することが大切です。上記の症状があり、少しでも障害年金を申請しようと思う場合は、ぜひご相談ください。
障害年金を受給することのメリット
発達障害でも「自分でできるから大丈夫」という人もいるでしょう。障害年金を受けるメリットは、経済的な安心だけではありません。5つのメリットを見てみましょう。
1.国民年金の支払いの免除
障害年金の1,2級を受けた人が免除を申請することで、国民年金の免除を受けられます。毎月の支払いが免除されることで、経済的な負担を軽くすることができます。
2.仕事をしていても受給できる場合がある
障害者雇用で働いている場合は、障害年金を受給できる場合があります。給料に加えて障害年金を受給することで、気持ちにゆとりを持つことができます。
3.税金がかからない
障害年金は税金の対象ではありません。他の収入がなければ確定申告などの手続きが不要です。
4.使い方に制限がない
障害年金は受け取ったお金の使用に制限がありません。貯金したり、貯めたお金で大きな買い物をすることも可能です。
5.不安やストレスを減らせる
定期的な収入があることで、不安やストレスを軽減できます。障害年金という制度を利用することで、経済的、精神的に安定した生活を送る助けになります。
申請するときの注意点
発達障害の人はうつ病などの病気を併発しているケースがあります。
障害年金を申請するときに「初診日」を証明することが必要ですが、発達障害の初診日か精神障害の初診日かどちらを初診日とするか注意が必要です。
・うつ病、躁うつ病、神経症の場合は、発達障害の初診日を証明します。
・統合失調症の場合は、統合失調症と発達障害のそれぞれの初診日を証明します。
上記のケースは発達障害と診断された後で、他の精神障害を併発した場合です。他の病気の場合や発達障害が後で診断された場合も初診日の取り扱いに注意が必要です。
障害年金の手続きの流れ
障害年金を申請するときは一般的に下記の流れを取ります。
1.初診日を確定する
2.保険料の納付要件を満たしているか確認する
3.受診状況等証明書を取得する
4.医師に診断書を作成してもらう
5.病歴・就労状況等申立書を作成する
6.申請に必要な書類(戸籍謄本や通帳のコピーなど)を揃える
7.年金事務所か市区町村役場(または役所)に提出する
お問い合わせください
障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なくご連絡をいただければと思います。
まずは当事務所の無料相談を活用ください。
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⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)
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