統合失調症で仕事ができない?公的支援を活用した働き方を社労士が解説

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あなたは、
・統合失調症だから仕事ができない
・どうしたら統合失調症を抱えながら働けるだろう

このようにお悩みではありませんか?
統合失調症の発症により、以前のように仕事を続けるのが困難になると「自分は仕事ができない人間だ」と思ってしまう方も少なくありません。

この記事では、統合失調症の方が仕事とのミスマッチをどのように解消すれば働き続けられるかについて、社労士が解説します。
この記事を読んで、さまざまな選択肢があることを知り、自分に合った働き方を探りましょう。

統合失調症とは

統合失調症とは、脳のさまざまな働きが障害される原因不明の精神疾患です。
統合失調症は10~20歳の青年期~成人期にかけて発症することが多く、だいたい100人に1人がかかるともいわれています。
主な症状には、幻覚や幻聴、妄想などの陽性症状と、意欲の低下や感情の鈍化などの陰性症状があります。
これらの症状が日常生活や仕事に影響を与え、「生活のしづらさ」や「仕事ができない」といった状態につながります。
統合失調症は専門医による治療が有効です。症状が出現したら、早めに専門医に相談しましょう。

2章:統合失調症の症状による仕事上の悩み
統合失調症の症状は、仕事の集中力やコミュニケーション能力などに影響を与えます。
たとえば以下のような悩みを感じるケースが多いです。

 幻聴や妄想などの症状によって集中力が保てない
 症状の波が予測しにくく、仕事ぶりが安定しない
 思考の混乱により、正確に情報を伝えたり理解したりするのが難しい
 職場からの期待やプレッシャーが症状を悪化させる
 変化や予期せぬ出来事への適応が難しく、ストレスが増大する
 フルタイム勤務が難しい
 物理的な職場環境(騒音、照明など)が症状を悪化させる
 対人関係が苦手なため、職場内の人間関係を構築できない
 統合失調症への誤解・偏見によって孤立する

治療薬の副作用によって仕事に支障が出ていると感じる方もいます。
しかし、自己判断で通院・服薬を中断するのはやめましょう。薬の減量などの調整は医師の判断のもと、おこなうことが重要なためです。

 

統合失調症の方が仕事を選ぶ際のポイント

統合失調症の方が仕事を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

 勤務形態の融通が利く
 困ったときに相談できる窓口がある
 統合失調症に理解がある
 自分の強みを活かした仕事を選ぶ
 支援や制度を活用しながら働く

統合失調症の場合、急な体調変化が起こる可能性があります。統合失調症に対する理解がある職場であれば、こうした体調の変化があっても必要なサポートを受けられるため、仕事と療養のバランスを保ちやすいでしょう。

 

就職活動のサポートを活用しましょう

統合失調症の方が仕事を選ぶときに、活用できるサポートはいくつかあります。

 ハローワーク
 地域障害者職業センター
 障害者就業・生活支援センター
 就労移行支援
 就労継続支援
 障害特化型の転職エージェント

単に求人紹介だけでなく、生活面も含めたヒアリングや個人の適性に合った仕事を一緒に考えてくれるサービスもあります。
働きやすい環境を選ぶときの参考として、活用してみると良いでしょう。

 

 

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障害年金について知っておきましょう

統合失調症の方は障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金は「障害によって日常生活や就労に支障をきたした方」が受給できる公的年金です。
障害者雇用で就労している場合や、就労する上で何らかの配慮を受けている場合、働きながらでも障害年金を受給できたケースは多々あります。

本当はやりたい仕事・やってみたい仕事があるにも関わらず、統合失調症の症状がその選択を妨げている場合、「障害年金を受給しつつ無理のない範囲で働く」という選択肢を検討できるかもしれません。
とはいえ、障害年金は複雑な制度です。症状がつらいなか自力で申請した結果、不支給になってしまった方も少なくありません。受給の可能性を高めるためには、障害年金に詳しい社労士に相談するのがおすすめです。

 

障害年金の申請でよくある質問

統合失調症における障害年金を申請する際によくある質問について解説します。

Q.障害年金を受け取ると、周りの人や会社の人にバレますか?

結論、自分で言わない限りバレません。
障害年金は非課税かつ社会保険料にも影響しないためです。したがって、年末調整や社会保険の手続きにおいても伝える必要はありません。

ただ、傷病手当金の申請書には障害年金の受給有無を記載する欄があります。そのため、すでに障害年金を受給していて、会社経由で傷病手当金の手続きをおこなう場合は会社に知られることになります。

Q.働きながら障害年金を受け取ると、所得制限はありますか?

障害年金には基本的に所得制限はありません。
ただし、例外として以下2つの場合においては所得制限があります。

1. 「20歳前の傷病」で申請する場合
初診日(統合失調症に関連する症状で初めて受診した日)が20歳前で、かつその初診日に厚生年金に加入していない場合

2. 特別障害給付金(※)を受け取る場合
※特別障害給付金とは、国民年金が強制加入ではなかった時代に、任意加入していなかったことで障害年金を受給できない人への福祉的措置として制定された制度のことです。

 

自分に合った職場選びをしましょう

統合失調症の方が感じる「生活のしづらさ」は周りからは理解されにくいこともあり、日常生活や仕事においてさまざまな支障をきたします。これにより、生活の糧を失うこともあります。
障害年金制度は、こういった方々のためにつくられた制度です。
「障害年金を受給しながら働く」という選択肢がある場合、統合失調症への理解を得ながら仕事ができる可能性もあります。
障害年金を活用して、「仕事ができない」という気持ちを少しでも軽減できれば幸いです。

お問い合わせください

障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。

 

メール、LINE、お電話(土日も対応)、いずれの方法でも結構ですのでお問い合わせをお待ちしております。

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お電話がスムーズです

※相談内容について専門家としてお答えするため下記の項目を最初にお聞きいたします。

①お名前、②生年月日(年齢)、③電話番号、④住所⑤初診日(医療機関に初めて受診した日)、

⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)

執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)