【社労士が解説】多発性骨髄腫で障害年金を申請する際のポイントを解説します

【社労士が解説】多発性骨髄腫で障害年金を申請する際のポイントを解説します

多発性骨髄腫の方は障害年金を受給できる可能性があります。

今回は多発性骨髄腫で障害年金を申請する際のポイントを社会保険労務士である私が解説していきます。

 

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫とは、血液のがんです。

血液中でがん細胞が増殖し、骨の中を中心に全身をめぐることで、さまざまな臓器で障害を引き起こします。

また血液は通常、菌やウイルスなどの異物が体内に入ると、それらを攻撃するために抗体を作る働きがあります。

しかし多発性骨髄腫になると正常な抗体を作ることができず、代わりに不要な抗体(Mタンパク)を作り出して、さまざまな症状を引き起こします。

骨の破壊が起こることによる骨の痛み(腰痛など)をきっかけに受診される方が多いです。

他にも息切れや倦怠感、感染への抵抗力が落ちる、腎障害など症状はさまざまです。

治療としては、必要に応じて化学療法や造血幹細胞移植が行われます。

場合によっては肺炎や急性腎不全、高カルシウム血症など緊急性の高い合併症を合併することもあり、多発性骨髄腫の治療よりも優先されます。

なかなか完全治癒は難しく、長期的に付き合っていく必要がある疾患です。

 

多発性骨髄腫における障害認定基準

「血液・造血器疾患による障害」を基準として認定されます。

多発性骨髄腫の病状だけでなく、日常生活状況も含めて総合的に認定されます。

病状に関しての具体的なポイントは以下の通りです。

  • 発熱、骨・関節痛、るい瘦、貧血、出血傾向、リンパ節腫脹、易感染性、 肝脾腫など症状の程度
  • 輸血の頻度
  • 治療に対しての反応、継続的に治療が必要か
  • 造血幹細胞移植を行った場合、移植片対宿主病(GVHD)の有無及びその程度
  • 検査所見(末梢血液中のヘモグロビン濃度、血小板数、正常好中球数、正常リンパ球数)
  • 合併症の有無及びその程度

 

※輸血や補充療法等で一時的に検査数値が改善している場合は、治療前の検査数値に基づいて認定されます。

 

以上の項目に対して、1級と2級に関しては比較的明確な基準が設けられています。

加えて、一般状態区分表というア~オの5段階に分けられた判定表により、日常生活や社会生活状況を判断します。

簡単に解説すると、寝たきり状態で活動範囲がベッド周囲に限られており、常に援助が必要な状態であれば1級。

常時寝たきりではなくても横になっている時間が多く、部分的に援助が必要な状態であれば、その程度によって2級の可能性があります。

3級は初診日の時点で厚生年金・共済年金に加入していた方のみ対象ですが「労働に制限をうけているか」についても考慮されます。

日常生活状況によっては上位等級となる可能性もあるため、病状が該当しないからといって不支給になるとは限りません。

 

多発性骨髄腫で障害年金を申請する際のポイント

障害年金は書類のみで審査が行われます。

 

【医療機関で記載してもらう書類】

  • 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)・・・初診の医療機関と診断書作成を依頼した医療機関が同じ場合は不要。
  • 医師の診断書

 

【ご本人やご家族が記載する書類】

  • 病歴・就労状況等申立書(発症してから現在までの経過を記載する書類)

 

重要書類となる医師の診断書

申請にあたり最も重要な書類は、医師の診断書です。

診断書の作成を依頼する際は、日常生活において支障がでている部分を、医師に明確に伝える必要があります。

しかし診察時だけでは、すべてを伝えるのはなかなか難しいこともあるでしょう。

事前にメモにまとめておくなどをして、伝わりやすいよう工夫することも大切です。

 

病歴・就労状況等申立書も大切

病歴・就労状況等申立書とは、多発性骨髄腫に関連する症状が出現してから現在に至るまでの受診状況や経過について、ご本人・ご家族が記載する書類です。

多発性骨髄腫の方は感染リスクが高いため、日常生活でも気をつけなければならない点が多くあると思います。

診断書を補足するような形で、感染リスクや倦怠感、日常生活状況の詳細など診断書では詳しく記載できないような部分を明記し、アピールしましょう。

診断書の内容と矛盾があると、不支給に繋がりますので整合性のある内容にしてください。

 

併合認定で上位等級となる可能性がある

多発性骨髄腫の病状だけでは受給が見込めない場合でも、併合認定で上位等級となる可能性があります。

例えば、多発性骨髄腫によって病的骨折を繰り返し発症したために関節可動域に制限があり、「肢体の障害」での申請も同時に行ったことで上位等級となったケースがあります。

しかし併合認定はどんな障害でも対象となるわけではありません。

造血幹細胞移植後に発症することがある慢性GVHDでは、併合認定の取り扱いとはならず症状を総合的に認定されます。

ただでさえ複雑な障害年金制度ですが、併合認定はさらに複雑です。

併合認定を狙いたい場合は、障害年金のプロである社会保険労務士に相談した方が良いでしょう。

 

まとめ

障害年金制度は複雑な制度であり、申請も大変な作業です。

よくわからないからと諦める方もいます。

しかし障害年金が受給できるようになると、生活への負担が軽減できるかもしれません。

病状が軽度でも、日常生活状況によって受給できる可能性があります。

あきらめず、申請を検討してみてください。

 

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①お名前、②生年月日(年齢)、③電話番号、④住所⑤初診日(医療機関に初めて受診した日)、

⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)

執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)