【社労士が解説】慢性疲労症候群で障害年金を申請する際の注意点を解説します

慢性疲労症候群に悩まされる人。【社労士が解説】慢性疲労症候群で障害年金を申請する際の注意点を解説します

慢性疲労症候群は障害年金の受給対象ですが、認定を受けるのが難しい傷病の1つです。

申請の際は、十分に注意しながら準備を進めていく必要があります。

今回は慢性疲労症候群で障害年金を申請する方に向けて、社会保険労務士である私が注意点を解説していきます。

 

慢性疲労症候群とは

慢性疲労症候群は日常生活に支障が出るほどの、原因不明の全身倦怠感や疲労状態が6ヶ月以上続き、睡眠などで休息を取っても回復しない状態をいいます。

症状は頭痛、微熱、関節痛、眠気、集中力の低下、うつ状態など多岐にわたります。

時に、寝たきり状態になってしまうほど重度になるケースもあります。

血液検査を含むさまざまな検査を行っても異常がみられない病態のため、確定診断まで時間がかかる場合が多いです。

確立された治療法はなく、漢方薬などの薬物療法、カウンセリングを行いながら徐々に症状の改善を図ります。

診断基準ができたのが1988年と比較的近年で、専門医が少ないという問題があります。

 

慢性疲労症候群の障害認定基準

申請の際に必要な診断書は「血液・造血器・その他の障害用」の様式を用います。

基本的に障害年金の認定基準は、症状の程度と、日常生活における支障がどの程度なのかによって等級が決まりますが、慢性疲労症候群に特化した具体的な基準がありません。

しかし、障害年金側でも基準が曖昧という認識が高まり、認定事例が公開されています。

慢性疲労症候群における基準において重要な指標が10段階に分類される重症度分類PS(Performance status(パフォーマンス・ステータス))と、5段階に分類される一般状態区分表です。

認定事例から考えられる基準の目安としては、PS9や一般状態区分表の(オ)に分類されるような、ほぼ寝たきりの状態で常時援助が必要な状態であれば1級。

PS8や一般状態区分(エ)のような、日中の半分は横になって過ごし、日常生活動作においても部分的な援助が必要な状態は2級となる可能性が高いです。

3級は障害厚生年金の方のみ対象ですが、PS5かつ一般状態区分(ウ)のような通常の社会生活を送ることができない状態、つまり労働等に影響がある場合は該当する可能性があります。

 

なぜ慢性疲労症候群での申請は難しいのか

慢性疲労症候群で認定を受けるのが難しい理由としては、慢性疲労症候群の専門医が少ないことが挙げられます。

慢性疲労症候群の発症原因が明らかになっていないことから、医師としても診断が難しいのです。

よって、なかなか確定診断をつけてもらえず、診断書作成自体が難しくなっています。

 

慢性疲労症候群で障害年金を申請する際の注意点

ただでさえ複雑な障害年金制度ですが、慢性疲労症候群で障害年金を申請するのは更に複雑となります。

申請する際は以下の点に注意しながら準備を進めていきましょう。

 

慢性疲労症候群における初診日の証明について

慢性疲労症候群では確定診断に至るまで時間がかかり、医療機関を転々とさせられる場合が多いです。

本来であれば、後に慢性疲労症候群と診断されたのであれば、風邪症状等で受診していた初めの日が初診日ですが、本当の風邪だったのか慢性疲労症候群の症状だったのかを証明するのはなかなか難しいです。

よって確定診断がついた医療機関でなければ初診日と認められないケースが非常に多くありました。

これを踏まえて、令和3年8月に厚生労働省より事務連絡があり、慢性疲労症候群のような発症直後に確定診断が行われにくい傷病について、初診日の特例が設けられました。

内容としては、請求者が申し立てた初診日(以下、申立初診日)を、障害年金における初診日として認められる可能性があるということです。

申立初診日が認められるためには、診断書に「医師からみても認められる」という記載と「発症直後に確定診断が行われなかった理由」の記載があるのが理想的です。

しかし、それが難しい場合でも「個別事例ごとの事情に応じて総合的に考慮する」としています。

障害年金における初診日は非常に重要で、初診日時点で加入している年金制度によって支給額が変わります。

ぜひ諦めずに挑戦してみましょう。

 

診断書に重症度分類が記載されているか確認する

慢性疲労症候群は旧厚生省研究班の重症度分類PSの10段階のうち、いずれに該当するのか診断書に明記されている必要があります。

診断書⑨欄に、具体的なPS値が記載されているか確認してください。

主治医が重症度分類PSを知らないようであれば、年金事務所等の窓口で慢性疲労症候群の照会様式をもらうこともできます。

その照会様式に重症度分類を記載してもらい、診断書に添付することで記載漏れを防ぐことが可能です。

 

病歴・就労状況等申立書も大切

慢性疲労症候群では、確定診断に至るまでに複数の医療機関を転々としてきた経緯を記載しなければならず、大変な作業です。

しかしここで諦めずに、受診状況や日常生活において支障が出てきた部分、就労する上で援助を受けている部分などを、できるだけ詳しく記載しましょう。

障害年金を申請する上で一番重要な書類は医師の診断書ですが、病歴・就労状況等申立書も受給の可能性をより高くするために大切な書類です。

診断書や受診状況等証明書の内容と矛盾がないように気をつけて下さい。

 

まとめ

ただでさえ障害年金制度は複雑ですが、慢性疲労症候群での申請は更に複雑です。

診断書の記載漏れがないよう注意する点も多く、医師との綿密なコミュニケーションが鍵となります。

大変だからと諦める方もいますが、障害年金を受給できると生活への負担軽減ができ、それが安心にも繋がります。

諦めず、前向きに申請を検討してみてください。

 

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①お名前、②生年月日(年齢)、③電話番号、④住所⑤初診日(医療機関に初めて受診した日)、

⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)

執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)