【社労士が解説】大腿骨骨頭壊死で障害年金を申請する際の5つのポイントとは?
大腿骨骨頭壊死で人工骨頭・人工股関節を挿入置換された方は、障害年金における障害等級は原則「3級」に該当します。
人工骨頭・人工股関節の手術をしていない方でも、日常生活において支障がでている場合、その程度によって1~3級に該当します。
今回は大腿骨骨頭壊死で障害年金を申請する際のポイントを5つ解説していきますので、ぜひ最後までご覧下さい。
大腿骨骨頭壊死とは
大腿骨骨頭壊死とは、大腿骨頭への血流の低下により、大腿骨頭が壊死を引き起こしている疾患のことです。
壊死が起こるとすぐに痛みが出るわけではなく、壊死の範囲が広くなり、体重を支えられなくなって骨が潰れることで痛みが出現します。
原因としてはアルコール多飲や喫煙、膠原病などでステロイド剤の大量投与を受けた方に多い疾患です。
好発年齢は男性で40歳代、女性では60歳代が多く、働き盛りの年代に多いという特徴があります。
潰れている骨の範囲や状態に応じて骨切り術や人工骨頭の挿入、もしくは人工股関節置換術が行われます。
障害年金とは
障害年金とは原則20歳~64歳の方を対象とし、病気やケガが原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった方が、以下3つの要件を満たせば受給できる公的年金のことです。
- 初診日(大腿骨骨頭壊死に関連した症状で初めて医療機関を受診した日)が証明できる
- 年金保険料を一定期間納付しており未納がない
- 障害等級に該当している
障害年金には以下の2種類あります。
障害基礎年金
初診日時点で国民年金に加入、もしくは初診日が20歳前の場合は「障害基礎年金」に該当します。
障害等級は1級と2級のみです。
障害厚生年金
初診日時点で厚生年金・共済年金に加入していれば「障害厚生年金」に該当します。
障害等級は1~3級です。
厚生年金に加入しているということは国民年金にも加入しているため、1級と2級に関しては障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給できます。
人工骨頭・人工股関節を挿入された方は原則として3級に該当しますが、3級があるのは障害厚生年金のみとなります。
大腿骨骨頭壊死の障害認定基準
人工骨頭・人工股関節を挿入している場合、3級は確定となります。
では、2級以上に絶対ならないのかというと、そうではありません。
人工骨頭・人工股関節を挿入してもなお状態が悪化した場合、程度によって2級以上となる可能性があります。
その際の基準としては「日常生活にどの程度の支障が出ているか」がポイントとなります。
日常生活動作については、片足で立つ、屋内外での歩行、立ち上がり、階段昇降などが基準です。
これらの動作で、常に援助が必要な状態であれば1級。
部分的な援助が必要な状態であれば、2級に該当する可能性があります。
大腿骨骨頭壊死で障害年金を申請する際の5つのポイント
大腿骨骨頭壊死で障害年金を申請する場合、気をつけるべきポイントが5つあります。
1.初診日に注意
大腿骨骨頭壊死のような身体の痛みの場合、最初に整体院や整骨院、鍼灸院に行く場合もあるでしょう。
しかし、障害年金における初診日はあくまで整形外科などの「医療機関」を初めて受診した日となります。
また、原因がステロイド剤によるものである場合、膠原病などの原因疾患で初めて受診した日が初診日となりますのでご注意ください。
2.人工骨頭・人工股関節を挿入した場合、障害認定日の特例がある
障害認定日とは通常「初診日から1年6ヶ月を過ぎた日」を指し、その翌月分から受給できます。
しかし、「1年6ヶ月以内に」人工骨頭・人工股関節を挿入した場合、特例として、その日(手術日)が障害認定日となります。
よって手術をした翌月から障害年金を受給することが可能です。
初診日から1年6ヶ月を過ぎて手術をされた場合は、通常通り「初診日から1年6ヶ月を過ぎた日」が障害認定日となります。
3.社会的治癒が認められる場合がある
初診日が20歳前で、障害基礎年金に該当するから3級がないので受給できない、と諦めるのは早いかもしれません。
例えば、20歳前に大腿骨骨頭壊死で骨切り術を行い、しばらく通常の日常生活を送ってから人工骨頭の適応となる場合もあるでしょう。
この場合は「再受診した日が初診日」と認められる可能性があるのです。
受診の必要がなかったということは、医学的には治癒していなくても社会的には治癒しているとして「社会的治癒」の状態とみなされることがあります。
再度受診した日に厚生年金・共済年金に加入していれば、3級がある障害厚生年金を受給できるかもしれません。
社会的治癒は無条件に認められるものではなく、根拠となる書類を集めなければなりませんが、該当する方はぜひ検討してみましょう。
4.最重要書類は医師の診断書
医師の診断書の内容1つで不支給になったり、上位等級になったりと結果を大きく左右します。
人工骨頭・人工股関節を挿入された方は、手術日が記載されていなければ3級にも認定されません。
診断書を受け取ったら手術日含め、記載すべき項目に記載漏れがないか必ず確認しましょう。
日常生活状況によっては上位等級に該当する可能性もあります。
医師には、一人暮らしを想定した上で「日常生活において支障が出ている部分」を明確に伝えましょう。
5.病歴・就労状況等申立書も大切
最重要書類は診断書ですが、病歴・就労状況等申立書もその次に大切な書類です。
3~5年おきに、発症から現在に至るまでの経過をご本人・ご家族が記載します。
診断書の内容を補足するような形で、詳しく丁寧に記載しましょう。
他の書類と矛盾がないように気をつけて下さい。
まとめ
大腿骨骨頭壊死で人工骨頭・人工股関節を挿入している場合、原則3級に該当します。
しかし、状態が悪化した場合は2級以上に該当する可能性もあります。
障害年金は複雑で申請も大変な作業ですが、受給できるようになると生活への負担が軽減できます。
あきらめず、申請を検討してみてください。
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