【社労士が解説】ALS(筋萎縮性側索硬化症)で障害年金を申請する際の注意点を解説します!

難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)に対して手を差し伸べる医師。

ALSは進行性の病気で、発症してから約1~2年で障害年金の上位等級に該当する方が多いです。

進行が速いゆえに注意しなければならない点もあるため、ぜひ最後までご覧ください。

 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

ALSとは、筋肉がだんだんと痩せていき、身体を動かせなくなっていく原因不明の病気です。

難病に指定されています。

筋肉そのものに異常はなく、身体を動かすために必要な神経系(運動ニューロン)に障害を受け、脳からの「身体を動かせ」という指令が筋肉に伝わらなくなることにより身体を動かせなくなり、筋肉が痩せていきます。

発症年齢は60~70歳が多いです。

症状は主に3つの型に分かれます。

  • 上肢型(普通型):上肢の筋力低下が主体
  • 進行性球麻痺型:構音障害や嚥下障害が主体
  • 偽多発神経炎型:下肢の筋力低下が主体

症状の進行速度は個人差がありますが、次第に呼吸筋も動かせなくなり、平均余命は3~5年と言われています。

しかし、人工呼吸器を用いることで寿命が延びる可能性があります。

 

障害年金とは

障害年金とは原則20歳~64歳の方を対象とし、病気やケガが原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった方が、以下3つの要件を満たせば受給できる公的年金のことです。

  1. 初診日(ALSに関連した症状で初めて医療機関を受診した日)が証明できる
  2. 年金保険料を一定期間納付しており未納がない
  3. 障害等級に該当している

 

障害者手帳と障害年金は違う制度であり、基準も異なります。

障害年金は2種類あります。

 

障害基礎年金

初診日時点で国民年金に加入、もしくは初診日が20歳前の場合は「障害基礎年金」に該当します。

障害等級は1級と2級のみです。

1カ月の平均支給額は約7万円です。

 

障害厚生年金

初診日時点で厚生年金・共済年金に加入していれば「障害厚生年金」に該当します。

障害等級は1~3級です。

厚生年金に加入しているということは国民年金にも加入しているため、1級と2級に関しては障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給できます。

1カ月の平均支給額は約10万円です。

 

ALSで障害年金を申請する際の注意点

障害年金は申請してから、審査結果が出るまでに時間がかかります。

しかしALSは進行が早いため、申請の準備も早めに行いましょう。

以下、注意点を解説していきます。

 

老齢年金に該当する場合は受給額を比較する

ALSの発症年齢は60~70歳の方が多く、老齢年金に該当される方もいます。

障害年金を申請する前に、どちらを受給した方が良いか計算し、比較する必要があります。

 

 

無料診断 バナー

 

進行が速いため、申請の準備も早めに

障害年金は通常、初診日から1年6ヶ月を過ぎた日が「障害認定日」となり、その翌月から受給可能です。

在宅酸素療法が必要になった場合は、特例として在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となります。

ALSでは、1年6ヶ月を過ぎた頃には障害等級に該当している場合も多く、その場合は最短で受給できる、認定日請求の準備をしておく必要があります。

申請の際に必要な重要書類として「医師の診断書」がありますが、「障害認定日以後3ヶ月以内」の診断書が必要です。

進行が速いようであれば、期間内の診断書を早めに依頼し、満額受給できるよう手続きの準備をしましょう。

既に障害認定日を過ぎてしまっている場合でも、障害認定日に遡って請求することは可能です。

遡及請求は認定日請求よりも少し難易度が上がりますが、障害認定日に障害等級に該当していたのであれば、あきらめずに申請しましょう。

 

上位等級となる障害を見極める

ALSでは「肢体の障害」で申請する場合が多いです。

進行するにつれて、そしゃく・嚥下機能の障害、音声又は言語機能の障害、呼吸器の障害などが出現し、複数の障害で申請することも可能です。

しかし、出現している障害すべての診断書を用意すると、その分費用がかかります。

一番重く出ている障害で上位等級に該当するもの1つに絞るか、重い障害2つを見極めて併合認定を狙う方法もあります。

それぞれの障害別に認定基準が異なるため、どの等級に該当するか、どの方法が一番上位等級となるのかを比較しましょう。

 

重要書類は医師の診断書と病歴・就労状況等申立書

診断書の内容1つで不支給になったり、上位等級になったりと結果を大きく左右します。

診断書作成を依頼する際は、一人暮らしを想定した上で「日常生活において支障が出ている部分」を明確に医師に伝えましょう。

診断書が出来上がったら、事実と異なる点はないか、しっかりと確認してください。

一番重要な書類は診断書ですが、病歴・就労状況等申立書もその次に大切な書類です。

3~5年おきに、発症から現在に至るまでの経過をご本人・ご家族が記載します。

診断書の内容を補足するような形で、詳しく丁寧に記載しましょう。

診断書や受診状況等証明書の内容と矛盾がないように気をつけて下さい。

 

まとめ

ALSは進行が速いため、申請するタイミングは重要となります。

受給できるような障害状態であるとわかったら、早めに申請しましょう。

障害年金制度は複雑で申請も大変な作業ですが、障害年金を受給できると生活への負担軽減に繋がり、かつ遺族厚生年金の受給条件を満たす可能性もあります。

あきらめず、前向きに申請を検討してみてください。

 

お問い合わせください

障害年金の申請についてご不明な点などがございましたらどんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。

全国対応

 

無料診断 バナー

 

お電話がスムーズです

執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)