【社労士が解説】線維筋痛症での障害年金の認定基準と申請時のポイントついて解説します
目次
線維筋痛症によって「日常生活に支障をきたしている」あるいは「就労に支障をきたしている」状態であれば障害年金を受給できる可能性が高いです。
今回は、具体的に線維筋痛症の認定基準と、申請する際のポイントを社会保険労務士である私が解説していきます。
線維筋痛症とは
線維筋痛症とは、全身に激しい痛みを生じる原因不明のリウマチ性疾患です。
痛みを感じる部位に腫れや発赤が現れず、さまざまな検査にも異常がみられません。
よって診断が遅れ、有効な治療が行われないまま医療機関を転々とさせられてしまうこともしばしばです。
命に関わる病気ではありませんが、全身の激しい痛みとともに、こわばり、激しい疲労感、不眠、頭痛やうつ状態など、さまざまな症状を伴います。
これらの症状は全て主観的で、客観的所見がないことから周囲の理解が得られにくく、1人で悩みながら日常生活や社会生活を送っているという現状があります。
線維筋痛症の重症度分類
線維筋痛症の重症度は厚生労働省の「重症度分類試案」によってステージⅠ(軽度)〜ステージⅤ(重度)の5段階に分類されています。
【ステージⅠ】
米国リウマチ学会診断基準の18カ所の圧痛点のうち11カ所以上で痛みがあるが、日常生活に重大な影響を及ぼさない。
【ステージⅡ】
手足の指など末端部に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く。日常生活が困難。
【ステージⅢ】
激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度・湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。自力での生活は困難。
【ステージⅣ】
痛みのため自力で体を動かせず、ほとんど寝たきりの状態に陥る。自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない。
【ステージⅤ】
激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、尿路感染など全身に症状が出る。普通の日常生活は不可能。
障害年金を申請する際は、どのステージに該当しているかが診断書に明記されていなければなりません。
重症度から推定される障害等級
具体的にどのステージであれば何級になると明示されていませんが、障害年金を受給するためには、経験からして「ステージⅡ以上」であることが必要です。
線維筋痛症における障害年金では、症状の程度に加えて「単身生活を想定した上で、日常生活動作においてどの程度の援助が必要か」で判断します。
ほぼ寝たきりの状態で日常生活動作において常時援助が必要な状態であれば障害等級は1級です。
日常生活動作において部分的な援助が必要であれば、その程度によって2級となります。
3級は障害厚生年金の方のみ対象ですが「労働にどの程度の制限をうけているか」についても考慮されます。
以上の点をまとめると、重症度分類から想定される障害等級は、ステージⅣ~Ⅴでは1級、ステージⅢ~Ⅳでは2級、ステージⅡ~Ⅲでは3級の可能性があります。
ありのままの状態を診断書に記載してもらう
線維筋痛症では「肢体の障害用」の診断書を用いて医師が記載します。
医師が診断書に記載しなければならない内容には重症度分類におけるステージ、治療の経過、握力や関節可動域などの客観的所見だけでなく、日常生活動作も含まれます。
診断書の内容が、受給決定や等級に強く影響します。
診断書を依頼する際は、症状や日常生活において支障をきたしている部分をありのまま、具体的に伝えましょう。
線維筋痛症における初診日の証明について
線維筋痛症においては、確定診断に至るまで時間がかかるという特徴から、医療機関を転々とさせられる場合が多くあります。
これを踏まえて特例が設けられており、請求者が申し立てた初診日(以下、申立初診日)が障害年金における初診日として認められる可能性があります。
そのためには、申立初診日に線維筋痛症による症状で診療を受けているという事実が診断書に記載されていることが理想的です。
また、発症直後に確定診断が行われなかった理由についても記載されていると尚良いでしょう。
申立初診日を初診日として裏付ける程、審査において医師の診断書は強力な役割を果たします。
よって日常生活状態についてだけでなく初診日についても、しっかりと医師と共有しておく必要があるということです。
しかし、それが難しい場合でも、審査側は「個別事例ごとの事情に応じて総合的に考慮する」としているため、諦める必要はありません。
障害年金における初診日は非常に重要で、初診日時点で加入している年金制度によって支給額が変わります。
もちろん嘘はいけませんが、事実と認められる範囲で、「初診日をどこにするか」は事前に考えておく必要があります。
初診日の証明について不安な場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談してみるのも良いでしょう。
病歴・就労状況等申立書も大切
障害年金を申請する際に必要な書類の中で唯一、ご本人・ご家族が記載できる書類です。
3~5年おきに、発症から現在に至るまでの経過を記載します。
医療機関への受診状況や日常生活において支障が出てきた部分、就労する上で援助を受けている部分などを具体的に記載しましょう。
一番重要な書類は診断書ですが、受診状況等証明書も大切な書類です。
受給の可能性をより高くするため、診断書の内容を補足するような形で、詳しく丁寧に記載しましょう。
診断書や受診状況等証明書の内容と矛盾がないように気をつけて下さい。
まとめ
障害年金制度は複雑で、申請も大変な作業です。
線維筋痛症の方は特に、初診日の証明が難しいこともあり、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、障害年金を受給できると生活への負担軽減に繋がります。
諦めず、前向きに申請を検討してみてください。
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