【社労士が解説】心臓ペースメーカー装着で障害年金を受給するためのポイント

こんにちは社会保険労務士の下斗米です。

心臓ペースメーカーを装着された方は、障害年金における障害等級は原則3級以上に該当します。

今回はペースメーカーを装着された方へ、社会保険労務士である私が障害年金について解説していきます。

 

心臓ペースメーカーとは

心臓ペースメーカーとは、主に脈拍が遅くなる徐脈性不整脈の治療に必要とされています。少なくなっている脈拍を察知し、脈拍が遅くなりすぎないように維持してくれるのです。

また、心室頻拍や心室細動などの致死性心室性不整脈を自動的に感知し治療ができる「ICD(植え込み型除細動器)」や、心不全の状態を治療できる「CRT(心臓再同期医療機器)」があります。

CRTのうち、ICDの機能を併せ持つものを「CRT-D」といいます。

 

障害年金とは

障害年金とは原則20歳~64歳の方を対象とし、病気やケガが原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった方が受給できる公的年金のことです。

ペースメーカーを装着された方も、以下2つの前提要件を満たす必要があります。

  1. 初診日(初めて医療機関を受診した日)が証明できる
  2. 年金保険料を一定期間納付しており未納がない

 

障害者手帳と障害年金は違う制度であり、基準も異なります。

 

障害年金の種類について

障害年金には2種類あります。

 

障害基礎年金

初診日時点で国民年金に加入、もしくは初診日が20歳前の場合は「障害基礎年金」に該当します。

障害等級は1級と2級のみです。

 

障害厚生年金

初診日時点で厚生年金・共済年金に加入していれば「障害厚生年金」に該当します。

障害等級は1~3級です。

厚生年金に加入しているということは国民年金にも加入しているため、1級と2級に関しては障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給できます。

 

ペースメーカーの種類と障害年金における等級について

ペースメーカーの種類によって、障害年金における障害等級は変わります。

 

2級

CRT(心臓再同期医療機器)

CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)

 

3級

ペースメーカー

ICD(植え込み型除細動器)

 

ペースメーカーにおける障害認定基準

ペースメーカー装着後すぐに申請した場合、上記等級は確定となります。

よってペースメーカーやICDを装着した方で、初診日時点で国民年金に加入していた場合、3級はないため不該当です。

しかし、ペースメーカーやICDを装着してもなお状態が改善されない場合、上位等級に認定されることがあります。

日常生活において常に介助を必要とする状態であれば1級。

2級として認められるためには、「異常検査所見があること」に加え「日常生活における支障がどの程度なのか」という、2つの組み合わせが重要です。

日常生活における支障の程度としては日本年金機構が示す、「一般状態区分表」にある以下項目のどちらかに該当する必要があります。

  • 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中50%以上は起居しているもの
  • 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの 

 

障害認定日の特例について

障害認定日は通常「初診日から1年6ヶ月を過ぎた日」を指します。

しかしペースメーカーで申請する場合は、初診日から1年6ヶ月経っていなくても「ペースメーカーを装着した日」が障害認定日と認められます。

よって1年6ヶ月過ぎるのを待つことなく、ペースメーカーを装着した日の翌月から受給可能です。

 

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ペースメーカーで障害年金を申請する際のポイント

障害年金は書類のみで審査が行われます。

ペースメーカーで障害年金を申請する際に、ポイントとなる書類は以下の通りです。

 

【医療機関で記載してもらう書類】

  • 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)・・・初診の医療機関とペースメーカーを装着した医療機関が同じ場合は不要。
  • 医師の診断書

 

【ご本人やご家族が記載する書類】

  • 病歴・就労状況等申立書(発症してから現在までの経過を記載する書類)
  • 初診日に関する調査票

 

各書類同士で、矛盾があると不支給となるため注意が必要です。

初診日に関する調査票は通称アンケートと言われ安易に考えがちですが、初診日の審査に使用される書類の1つであるため、注意して記載しましょう。

それぞれの書類が、整合性のとれた内容になっているか確認した上で申請してください。

 

就労している場合について

就労しているからといって不該当にはなりませんが、病歴・就労状況等申立書には、就労においてご自身で気をつけている点や、周囲から配慮を受けている部分などを詳しく記載するようにしましょう。

 

更新時は注意が必要

ペースメーカーでは受給後、更新手続きが必要になることが多いです。

その際、再び医師の診断書が必要となります。

障害認定基準にてCRT・CRT-Dにおいては「1~2年程度経過観察した上で症状が安定しているときは、臨床症状、検査成績、一般状態区分表を勘案し、障害等級を再認定する」とされています。

ペースメーカー装着後、「状態が落ちついている」と判断されれば、等級落ちする可能性もあるのです。

診断書作成を依頼する際は、状態の伝え方にも注意しましょう。

 

まとめ

ペースメーカーでの障害年金における障害等級は、条件を満たせば原則3級以上に該当します。

障害年金を受給できると、生活への負担軽減に繋がります。

しかし障害年金制度は複雑なため、申請を遅らせてしまう方がいますが、ペースメーカー装着後1~2年以上過ぎてから申請すると「状態が落ち着いている」と判断されやすく、受給の難易度が高くなってしまうのです。

できるだけ早めに申請し、確実に受給できるようにしましょう。

 

 

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障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なくご連絡をいただければと思います。

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)