精神障害でも障害年金を受給できる?対象となる精神障害や金額、申請時の注意点を解説します

こんにちは社会保険労務士の下斗米です。

「精神障害をもっているが、障害年金を受給できる?」とお困りではありませんか?

精神障害でも一定の基準を満たせば障害年金を受給することが可能です。

 

精神障害での申請

精神障害は身体障害とは違い、内面的であることから程度の判断がむずかしいです。

審査は書類のみで行われます。

 

客観的な指標となる、もっとも重要な書類が「医師の診断書」です。

しかし精神障害の症状や状態には波があり、主治医であっても、すべて把握しているとは限りません。

ここでは精神障害における障害年金について、申請時の注意点も含めて解説していきます。

 

 

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精神障害における障害年金

原則20歳~64歳の方を対象とし、精神障害が原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった場合、以下3つの要件を満たせば障害年金を受給できます。

 

  1. 初診日(精神障害で初めて医療機関を受診した日)がわかっている
  2. 初診日時点で、国民年金もしくは厚生年金・共済年金を納めている
  3. 障害等級に該当している

 

初診日が20歳前の場合は年金保険料を納める義務がないため例外です。

 

障害年金の受給対象となる精神障害

双極性障害(躁うつ病)、うつ病、統合失調症、てんかん、発達障害、知的障害、自閉症スペクトラム、認知障害など。

 

障害年金の受給対象とならない精神障害

人格障害、神経症、解離性障害、パニック障害、不安障害、適応障害、強迫性障害、転換性障害、睡眠障害、違法薬物等による精神疾患(※故意による摂取でない場合は対象)など。

 

ただし、精神障害においては疾患だけでなく、症状が認定対象となることもあります。

よって上記精神障害であっても、必ずしも障害年金が受給できないわけではありません。

 

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支給金額

初診日時点で、国民年金を納めていれば「障害基礎年金」、厚生年金あるいは共済年金を納めていれば「障害厚生年金」となります。

基本的に未納がなければ、納付要件を満たしているでしょう。

免除期間は未納とはなりません。

以下、令和4(2022)年度時点の支給金額を解説していきます。

 

障害基礎年金の場合

障害基礎年金の場合は障害の程度によって1級・2級と分類され、等級によって金額が変わります。

 

【1級】

972,250円(月額81,020円)+子(※1)の加算額

 

【2級】

777,800円(月額64,816円)+子(※1)の加算額

 

子の加算額は2人まで1人につき223,800円(月額18,650円)、3人目以降は1人につき74,600円(月額6,216円)です。

 

※1 子は18歳未満の高校卒業時(3月31日)までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子。(所得がある場合、一定条件あり)

 

障害厚生年金の場合

障害厚生年金の場合は、障害の程度によって1級・2級・3級・障害手当金(一時金)と分類されます。

 

報酬比例の年金額となり「在職中の平均月収(賞与含む)と加入期間」から計算され、人によって金額が異なります。

 

厚生年金を納めている方は同時に国民年金も納めているので、1級と2級においては障害基礎年金分がプラスとなります。

 

【1級】

障害基礎年金1級の金額+(報酬比例の年金額 × 1.25 )+ 配偶者(※2)加算額

 

【2級】

障害基礎年金2級の金額+報酬比例の年金額 + 配偶者(※2)加算額

 

【3級】

報酬比例の年金額 最低保障額583,400円(月額48,616円)

 

【障害手当金(一時金)】

報酬比例の年金額2年分(最低保障額1,166,800 円)

 

配偶者加算額は223,800円(月額48,616円)です。

 

※2 配偶者は65歳未満。(所得や年金受給の有無など一定条件あり)

 

障害者手帳とは区別される

「障害者手帳が2級だから障害年金も2級だろう」と誤解される方がいますが、必ずしもそうではありません。

 

なぜなら障害者手帳と障害年金は別の制度であり、判定方法も違うからです。

 

障害者手帳(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)の有無に関わらず、障害年金を申請することができます。

 

精神障害で申請する際の注意点

必要書類を用意し、市区町村役場もしくは年金事務所で申請します。

 

すべて書類審査であり、直接会って状態をみて審査してもらうことはできません。

よって唯一客観的な指標となる「医師の診断書」がもっとも重要となります。

 

精神障害は「症状に波がある」のが特徴です。

 

外来通院では特に外出できている分、普段よりも調子がよい時に医師と会っているかもしれません。

 

医師は診察時の状態や、本人の話す内容から状態を判断します。

 

医師に診断書を依頼する際は、普段のありのままの状態を細かく、具体的に伝えましょう。

 

必要書類の中には本人が記載する書類もありますが、ほぼ診断書の内容が受給の有無・等級に影響します。

 

診断書をもらったら、実際の状態と相違点がないか確認しましょう。

 

受給後の更新について

障害年金には更新手続きが不要な「永久認定」と更新手続きが必要な「有期認定」があります。

精神障害では1年から2年という比較的短期間での有期認定となる場合が多いです。

更新時期が近づくと障害状態確認届が送付され、再び医師と相談しながら診断書を作成する必要があります。

 

精神障害での申請は慎重に

障害年金の審査は障害者手帳の審査よりも厳しいです。

理由としては支給期間によって数千万円程の支給になる方もおり国としても多額の財源を必要とするからでしょう。

書類の内容が受給の有無、そして金額を左右します。

特に医師の診断書を依頼する際は、ありのままの症状をすべて伝え、現状との相違点がないようにしましょう。

 

「自分は障害年金をもらえる?」「医師への伝え方を教えてほしい」など障害年金に関わるご相談へのアドバイスを無料で行っております。

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)