【社労士が解説】双極性障害と障害年金について

こんにちは社会保険労務士の下斗米です。

本日は双極性障害の方向けに障害年金について解説をします。

  • ①双極性障害とは
  • ②双極性障害で障害年金を申請する条件
  • ③等級認定ガイドライン
  • ④障害年金の手続きの流れ
  • ⑤医師へ診断書を依頼するポイント
  • ⑥双極性障害で障害年金を申請する際の間違いやすいポイント

 

①双極性障害とは

 

双極性障害とは、気分がとても落ち込む「うつ状態」と気分がとても高まる「躁状態」が繰り返す病気です。

うつ状態とは、何をしていても楽しめない、興味があることに急に興味がなくなる、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった症状があります。

躁状態は病気と言えるほどに開放的になったり、怒りっぽくなった状態で、買い物でかなり浪費したり、大きな借金を抱えたりなどの問題症状を伴うことがあります。

躁状態が激しい双極性障害を「双極性障害Ⅰ型」、躁状態でも自分も周りもあまり困らない状態を双極性障害Ⅱ型と言います。

 

②双極性障害で障害年金を申請する条件

 

双極性障害で障害年金を申請するためには、満たすべき条件が2つあります。大前提となる2つの条件を説明します。

 

①「初診日を確認する」

症状が表れてから初めて病院にかかった日を「初診日」と言います。

双極性障害で障害年金を申請するためには、医師から初診日を証明してもらう必要があります。双極性障害で初めて受診した病院で初診日を証明してもらいましょう。

 

②「保険料を納付している」

初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合委員機関を含む)と保険料免除機関を合わせた期間が3分の2以上である必要があります。

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、この条件は不要となります。

これは簡単に言うと、国民年金の場合は保険料をしっかり納めていないと障害年金を申請できないということを意味しています。

 

③等級判定ガイドライン

 

障害年金には等級があり1級が一番重く、3級が軽度の障害程度となります。

申請をするまでに国民年金と厚生年金のどちらも加入した経験がある方は、初診日に加入していた年金制度により、国民年金か厚生年金かが判定されます。

等級の判定基準は下記の通りです。

等級

障害の状態

1級

常にサポートが必要な状態

2級

日常生活に影響を及ぼし、サポートがないと生活できない状態

3級

日常生活はなんとかできるものの、仕事をする点でサポートが必要な状態

※難しい言葉はできるだけ使わず、分かりやすくしています。

 

④障害年金の手続きの流れ

1.初診日を調べる

双極性障害でいつ初めて病院を受診したかを調べ、医師に初診日を証明してもらう必要があります。初めての受診が、眠れない、食欲がないといった症状で内科などを受診していた場合は、そちらが初診日となります。

2.年金事務所で書類を受け取る

国民年金と厚生年金で様式が違うため、どちらにも加入されていた場合は、初診日を確認した上で年金事務所へ行くことをお勧めします。

3.医師に診断書書いてもらう

現在、双極性障害で受診している医師に障害年金用の様式の診断書に記入してもらいます。

4.病歴・就労状況申立書

病気を発病してから病院を受診するまでの経過や、病院の受診状況、日常生活の状況、仕事の状況などを記入します。医師の診断書は、医師から見た病気の状況ですが、日常生活の状況を申請者の視点から伝えるものになります。

5,必要書類を準備し、申請する

年金手帳のコピー、住民票、預金通帳のコピーなどを準備して診断書等と一緒にして障害年金を申請します。

 

⑤医師へ診断書を依頼するときのポイント

 

障害の認定基準は、食事、掃除や片付けなどの身の回りが清潔にできるか、買い物、仕事や社会活動など日常生活がどれほど制限されているかで評価されます。

双極性障害Ⅱ型の場合、躁の症状が比較的症状が軽いため、評価されないことがあります。医師に診断書を依頼するときは、うつ状態について症状をお伝えすると良いでしょう。

双極性障害Ⅰ型の場合は、躁状態の時に大きな症状が現れる場合があります。

近隣住民や家族とトラブルを起こす、ギャンプルでお金を使い果たす、クレジットカードで大きな買い物をしてしまうなど、通常ではあり得ない行動をとってしまう症状があり、家族も振り回されてしまいます。

双極性障害Ⅰ型の場合は、うつ状態だけではなく、躁状態も評価の対象となるでしょう。

「病歴・就労状況申立書」でもありのままの病状を記入しましょう。自分が双極性障害で日常生活にいかに制限を受けているかを伝えることができます。

 

⑥双極性障害で障害年金を申請するときの間違えやすいポイント

 

・初診日は診断日ではない

双極性障害と診断された日を初診日と勘違いしないようにしましょう。

双極性障害と診断される前に病院を受診していたのであれば、最初に受診した日が「初診日」となります。

双極性障害と分からず、食欲がない、眠れないといった理由で内科などを受診していた場合は、その病院で初診日を証明してもらう必要があります。

診断された病院ではなく、症状が現れて初めて受診した日を初診日としましょう。

 

・医師に病状をしっかり伝える

双極性障害という病気ゆえになかなか上手に自分の状況を伝えられない場合があります。

また、医師の前では元気に見えてしまうケースもあります。

普段の病院では、日常生活にどのような制限があるかという情報よりも、「眠れない」、「やる気が出ない」、「気分が悪い」などの症状を伝えることが多いかもしれません。

普段から医師に、自分の生活の状態も知ってもらうことで、診断書でありのままを評価してもらうことができます。

 

まとめ

障害年金を申請するのはとても大変な作業です。

申請したいけれど、さまざまな困難があり自分ではできない方もおられます。

障害年金の申請についてご不明な点などがございましたらどんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。

不安がある方は是非当事務所の無料相談を活用ください。

 

執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)