【社労士が解説】うつ病エピソードで障害年金を申請する際の注意点と対策

【障害年金 ご相談事例】40歳代女性 東京出身の双極性障害を患う40代の女性からご相談を受けました

あなたは、
「うつ病エピソードで障害年金を申請したい」
「障害年金の申請手続きで失敗したくない」

このようにお考えではありませんか?
うつ病エピソードは障害年金の対象疾患であるため、申請手続きを適切におこなえば受給できる可能性があります。

この記事では、うつ病エピソードで障害年金を申請する際の注意点と対策、そして受給の可能性を高めるポイントについて社労士が解説します。

うつ病エピソードは障害年金の対象疾患です

うつ病エピソードは、国際疾病分類(ICD-10)では「F32」のコードで分類される精神疾患であり、障害年金制度の対象疾患として認められています。

うつ病エピソードでの障害年金申請では、症状の重さだけでなく、それによって日常生活や社会生活にどれだけ支障が出ているかが重視されます。

※参考:ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン|厚生労働省

うつ病エピソードとうつ病の違いについて

「うつ病エピソード」はうつ病症状の総称です。一方、「うつ病」はうつ病エピソードが一定の基準を満たした場合に診断されます。それぞれ解説します。

うつ病エピソードとは

うつ病エピソードは、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失などの症状が2週間以上続く一時的な状態です。
単発的に発生することもあり、適切な早期治療で回復できる場合もあります。症状だけでなく、その持続期間にも着目する概念です。

さらに、うつ病エピソードは以下のような重症度に分類されます。

・F32.0 軽症うつ病エピソード

・F32.1 中等症うつ病エピソード

・F32.2 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード

・F32.3 精神病症状を伴う重症うつ病エピソード

障害年金申請時の医師の診断書には、上記の国際的な分類コード(ICD-10)を病名とともに記載することが必須となります。

うつ病とは

うつ病は、うつ病エピソードを含む持続的な精神疾患を指します。診断には複数のうつ病エピソードの経験や、症状によって生活に著しい支障をきたしている状態が考慮されます。

うつ病は長期にわたる症状が特徴で、より包括的な診断名です。うつ病には、単一エピソード型と反復性の2つのタイプがあり、エピソードの回数によって区別されます。

うつ病エピソードで障害年金を受給する際の注意点やポイント

うつ病エピソードでの障害年金申請では、症状の重さや持続性、日常生活への影響度合いがポイントとなります。ただし、重症であれば必ずしも高い等級になるとは限りません。

障害年金制度では「障害によって日常生活にどの程度の支障がでているか」をしっかりと伝えなければ、本来受給できる状態であっても不支給、あるいは実態よりも軽く評価されてしまう場合があるためです。

ここでは、うつ病エピソードでの障害年金申請において重要な書類となる「医師の診断書」と「病歴・就労状況等申立書」に分けて、それぞれの注意点とポイントを解説します。

医師の診断書が重要

障害年金の申請では、医師の診断書がとても重要な役割を果たします。そのため、医師に診断書を依頼する際は、症状や日常生活への影響度合いを具体的に記載してもらうことが重要です。

しかし、診察時に日常生活の詳細を主治医に伝えられている方はとても少ない印象です。

例えば、主治医から「食事はきちんと摂れていますか」という質問に対して、患者側が「はい」と答えているようなやり取りです。この場合、医師の考える「きちんと」と、患者の考える「きちんと」は大きく違う可能性があります。

患者は「(家族が全て用意してくれて、本当は食べたくないけど、促されて食べているから)はい」と答えているかもしれません。

診断書において重要なのは、日常生活の具体的な困難さを客観的に示すことです。そのため、「何ができないか」を具体的に伝える必要があります。

また、うつ病エピソードが繰り返されている場合は、その頻度や期間、症状の変化なども重要な情報となります。診断書を受け取ったら、この点も含めて記載内容をすべて確認しましょう。

病歴・就労状況等申立書は診断書の補足として大切

病歴・就労状況等申立書は唯一、ご本人・ご家族が記載する書類です。この書類には、発病から現在までの経過を具体的に記載します。

医師が記載する診断書ほど、受給や等級を大きく左右する書類ではありませんが、診断書の内容とズレがあると不支給につながってしまうため注意が必要です。

例えば、「朝起きられず、出勤できない日が月に10日以上」「家事が困難で、食事の準備ができない」など、経過のなかで起きたことを具体的に記載するのが効果的です。

診断書との整合性に注意しながら、診断書では伝えきれない部分を補足するように詳しく記載するとよいでしょう。

うつ病での障害年金申請に必要な前提条件や手続きの流れ、判定基準などについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

≫≫「【社労士が解説】うつ病で障害年金の申請について徹底解説します!」はコチラ

うつ病エピソードで障害年金を申請する際は社労士に相談しましょう

うつ病エピソードは障害年金の対象疾患です。障害年金の申請においてはうつ病での申請と大きく変わりませんが、うつ病エピソードでは頻度や期間なども大切な指標となります。

また、「障害者手帳3級だから障害年金も3級になる」といった勘違いをされる方もいますが、障害年金と障害者手帳はまったく別の制度です。そのため、障害者手帳の等級が障害年金の等級認定に直接影響を与えることはありません。

たとえ症状が重症であっても、日常生活への支障をしっかり伝えられないと不支給となる可能性があるため、うつ病エピソードで障害年金を申請する際は社会保険労務士への相談をおすすめします。

当事務所では負担を少しでも軽減するため、直接お会いせずに完全オンラインでのご相談や申請手続きにも対応しております。

外出が難しい状況でも、メール、LINE、お電話(土日も対応)といった方法でご自宅からお気軽にご相談いただけますので、どうぞ安心してお問い合わせください。

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)