うつ病で障害年金を受給するのは難しい?理由と対策を社労士が解説!

【障害年金 ご相談事例】40歳代女性 東京出身の双極性障害を患う40代の女性からご相談を受けました

あなたは、
・「うつ病で障害年金をもらうのは難しい?」
・「働いていたら障害年金はもらえない?」
・「症状が辛くて難しい話を理解できない…」

このようにお考えではありませんか?

難しいと言われるうつ病での障害年金ですが、適切な準備と対応ができれば、受給できる可能性を高めることは可能です。

この記事では、うつ病での障害年金受給が難しいと言われる理由や対策について、数多くの障害年金申請をサポートしてきた社会保険労務士がわかりやすく解説します。

障害年金を受給している人の大半は「精神・知的障害」に該当

難しいと言われる精神疾患での障害年金受給ですが、令和5年度の障害年金受給者の診断書種類別件数では、「精神・知的障害」が69.5%というデータでした。

つまり、障害年金を受給している人の約7割が、うつ病を含む精神・知的障害に該当していることから、うつ病でも適切な対応ができれば、障害年金を受給できる可能性は十分あるといえるでしょう。

参考:障害年金業務統計(令和5年度決定分)|日本年金機構の主要統計|日本年金機構

うつ病で障害年金をもらうのは難しいと言われる理由6つ

うつ病での障害年金受給が「難しい」と言われる背景には、いくつかの理由があります。
私が社労士として多くの申請をサポートしてきた経験から見えてきた、多くの申請者が直面する6つの壁について解説します。

診断書の内容が実際の症状を正確に反映していない

診断書に記載される症状が、実際にあなたが日常で感じている苦痛や制限よりも軽く書かれてしまうケースが少なくありません。
本人が伝える症状の表現方法や、医師の記載スタイルによって、同じ症状でも障害の程度が異なって伝わることがあります。

「働いている=障害がない」という誤った認識

うつ病と診断されていても、就労している場合「働けるなら障害はない」と誤解されがちです。
しかし、実際には無理して出勤し、帰宅後は疲労困憊で何もできないという状態や、配慮された環境でしか働けないケースも多いです。

転院していると転院前の記録が入手しづらい

医療機関を変更した場合、障害認定日(初診から1年6ヶ月後)までさかのぼって症状を証明することが難しくなります。

身体疾患と異なり、うつ病は客観的な検査で症状を証明できないため、医師の詳細な経過記録が重要です。とくに、転院前の医療機関で詳細な記録が入手しづらいケースでは、継続的な症状の証明が課題となります。

初診日の特定が困難

うつ病は徐々に症状が進行することが多く、「いつから症状があったか」を証明するのが難しい場合があります。
障害年金制度では、受給要件のひとつに初診日の証明が含まれているため、初診日が不明確な場合は難しくなります。

効果的な申請書類の作成が難しい

障害年金の申請では、自分の状態を客観的かつ具体的に伝える書類の作成が必要です。
しかし、どのポイントを伝えるべきか、どのような表現が適切かを判断するのは専門知識なしでは困難でしょう。

うつ病を抱えながら複雑な制度を理解するのが難しい

根本的な問題として、うつ病の症状自体が申請手続きを難しくします。
集中力の低下や意欲の減退などの症状があるのに、複雑な制度を理解し、たくさんの書類を準備し、年金事務所に出向くこと自体が大きな負担となります。

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うつ病でどんな状態なら障害年金を受け取れるのか?

障害年金の審査で重視されるのは、「うつ症状による日常生活への影響度合い」です。
以下、具体的な等級の目安を見てみましょう。

・1級:ほぼ1日中寝たきりで、食事や着替えなど基本的な生活動作にも常時援助が必要
・2級:外出や家事などの日常生活に部分的な援助が必要
・3級:日常生活への影響度合いに加え、「労働にどの程度制限を受けているか」も考慮される
※3級は障害厚生年金のみの等級です。

このように、3級では「障害年金を受給しながら働く」という選択ができる可能性があります。
ただし、日常生活への影響度合いを具体的に伝えることが重要です。適切な書類を用意するためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

うつ病で障害年金を検討する際によくある質問

よくある質問やご相談に回答します。

主治医から「あなたが障害年金を受け取るのは無理だ」と言われました…。

医師は医療のプロであって、障害年金のプロではないため、あなたが障害年金を受け取れないとは必ずしも言い切れません。

実際、「医師には無理と言われたけれど、実際には受給できた」というケースもあります。必要な要件を満たしているか、しっかりと確認する必要があります。

年金保険料を納付していない場合、障害年金は受け取れませんか?

年金保険料を納付していない場合、基本的には障害年金を受け取れません。しかし、以下のようなケースでは救済措置を受けられる可能性があります。

・初診日の前々月までの直近1年間に未納がない
・20歳前に初診日がある
・「特別障害給付金」の対象者に該当する可能性がある

自分の保険料納付状況に不安がある場合も、社労士に相談してみるのがおすすめです。
特別障害給付金については、以下の記事でさまざまな支援制度を含めて解説していますので参考にしてみてください。

≫≫「【5分で読める】うつ病でもらえる国からの補助金|公的支援制度について社労士が解説!」はコチラ

主治医とのコミュニケーションが取りづらく、診断書をもらえる気がしません。

これは多くの方が抱える悩みです。主治医が多忙であったり、障害年金の診断書作成に消極的なケースもあります。
このような場合は、以下のような対策を検討してみましょう。

・障害年金の必要性や診断書の重要性を丁寧に伝える
・看護師やソーシャルワーカーなどにも相談する
・社労士に相談する

専門家が間に入ることで、スムーズに進むケースも多くあります。
また、以下の記事も参考にしてみてください。

≫≫「障害年金の診断書を医師が書いてくれないケースと対処法を社労士が解説!」はコチラ

難しいといわれるうつ病での障害年金申請は社労士を活用しましょう

うつ病での障害年金申請は、症状と闘いながらの大変な道のりです。
しかし、適切なサポートがあれば、道が開ける可能性があります。ひとりで悩まず、社労士の力を借りて本来受け取るべき支援を受けましょう。

障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)