生活保護と障害年金を同時に受給する3つのメリットと注意点を解説します
あなたは、
「生活保護と障害年金は両方もらえる?」
「生活保護と障害年金はどっちが得なの?」
「生活保護を受給していたら、障害年金を申請する必要はない?」
このようにお考えではありませんか?
結論として、生活保護と障害年金は同時に受給可能ですが、純粋に両方を足した額が受給できるわけではありません。
なぜなら生活保護を受給する場合は、障害年金も収入とみなされるからです。
したがって、その分を最低生活費から差し引いた額が支給されるというわけです。
しかし、生活保護費を受給していても、障害年金を受給するメリットはいくつかあります。
今回は生活保護受給中でも障害年金を申請するメリットや、同時に受給する際の注意点を社労士である私が解説します。
生活保護と障害年金の違い
生活保護と障害年金は目的が異なる制度です。
それぞれについて解説します。
生活保護とは
生活保護とは、生活に困窮する方の生活を保障する制度です。
「世帯単位」での所得制限があります。
したがって、同居家族がいる場合は家族の収入が増えると受給できなくなる可能性があります。
また、貯金や贅沢ができないなど、お金の使い道に関する制限が多いです。
【対象者】
世帯収入が最低生活費(月13万円)を下回る
親族などから支援を受けられない
財産を所有していない
【支給額】
居住地などによるが月平均10~13万円
障害年金とは
障害年金とは、病気や事故が原因で障害を抱え、日常生活や就労に支障のある方が受け取れる公的年金です。
生活保護とは違い「個人単位」で受給できます。
そして、一部の例を除いて、基本的に所得制限はありません。
また、お金の使い道は自由であり、貯金をすることも可能です。
【対象者】
原則20歳~64歳
年金保険料を一定期間納付しており未納がない(免除期間は未納ではない)
障害等級に該当している
【支給額】
障害基礎年金:月平均7万円
障害厚生年金:月平均10万円
生活保護と障害年金は同時に受給できる
生活保護と障害年金は同時に受給できます。
とはいえ、生活保護を受給している場合は、障害年金も収入とみなされ、生活保護費から差し引かれます。
したがって、両方を満額で受け取れるわけではありません。
つまり、同時に受給した場合は以下のような計算式が成り立ちます。
生活保護費 = 障害年金 + (生活保護費 – 障害年金)
このように生活保護からは、障害年金分を差し引いた額が支給されるので、総額は変わりません。
生活保護費の方が高い場合でも、障害年金を申請するメリット
ここまでの解説を読んで「じゃあ生活保護を受給している場合は障害年金を申請するメリットはないのか」と思われる方もいるでしょう。
しかし、この場合でも障害年金を申請するメリットがあります。
生活保護に障害者加算が加わる可能性がある
障害年金分は使い道が自由
障害年金分は就労したからといって打ち切られない
それぞれ説明します。
生活保護に障害者加算が加わる可能性がある
障害年金1級あるいは2級の場合は、生活保護費に「障害者加算」が加わる可能性が高いです。
具体的な金額や条件などは地域によって異なります。
したがって、この障害者加算が加わった場合は、生活保護と障害年金の合計額は通常よりも高くなります。
障害年金3級の場合は加算されませんので、注意しましょう。
障害年金分は使い道が自由
生活保護は生活に困窮している世帯の保障制度であり、贅沢ができないというルールがあります。
そのため、お金の使い道に関しての制限が多いです。
一方、障害年金は障害を抱え、日常生活に支障のある方が受け取れる公的年金です。
生活水準に関しては、とくに注視されないため、お金の使い道を自由に決められるのは大きなメリットでしょう。
障害年金分は就労したからといって打ち切られない
生活保護は収入や生計に変化があった際には、必ず申告する義務があります。
また、収入があった分は返還しなければなりません。
そして、収入が最低生活費を上回った場合、生活保護の支給が打ち切られる可能性もあります。
そのため、社会復帰を躊躇される方もいます。
一方、障害年金は就労しているからといって、必ずしも支給が止まるわけではありません。
そのため、いずれ就労したいと考えている方は、障害年金があると安心できるでしょう。
生活保護と障害年金を同時に受給する際の注意点
障害年金には遡及請求という請求方法があります。
遡及請求が認められた場合、障害認定日に遡って、最長で5年分受給できます。
しかし、この期間に生活保護を受給していた場合、実際には収入があったとみなされるため、生活保護課に受け取った障害年金を返還しなければなりません。
すると、遡って受給できたとしても手元には残らないという場合もあるのです。
そのため、生活保護を受給している方が障害年金を申請する場合には、返還しなければならない可能性がある点に注意しましょう。
活用できる支援は、できる限り活用しましょう
生活保護では、他に活用できる支援があれば活用することが原則です。
なぜなら、会社からお給料が発生しているのに、それを受け取らずに生活保護費だけを受給するのはおかしいのと同じ理由です。
障害年金は原則として所得制限がなく、お金の使い道にも制限がありません。
今後、就労して自立したいと考えている方はとくに、障害年金を活用するのがおすすめです。
「障害年金の受給対象だと思うが、申請手続きが複雑で分からない」という方は、障害年金のプロである社労士に相談しましょう。
注意点として、障害年金の申請を社労士に依頼して受給が決定すると、社労士への支払いが発生します。
しかし生活保護では、社労士への報酬を経費として認めてもらえる場合があります。
このあたりは地域によって違ったり、ケースバイケースだったりするため、事前に担当のソーシャルワーカーに確認してみましょう。
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