【社労士が解説】ウイルス性脳炎で障害年金を申請する際のポイントを解説します

【社労士が解説】ウイルス性脳炎で障害年金を申請する際のポイントを解説します

ウイルス性脳炎によって後遺症のある方は、症状や日常生活状況によっては障害年金を受給可能です。

今回はウイルス性脳炎の方が障害年金を申請する際のポイントついて、社会保険労務士である私が解説していきます。

 

ウイルス性脳炎とは

ウイルス性脳炎とは、何らかのウイルスが脳に達し、脳が感染することで炎症を起こします。

原因となるウイルスはヘルペスウイルス、日本脳炎、インフルエンザウイルスなど、さまざまです。

脳炎には、直接ウイルスが脳に達し感染するものだけでなく、2次性脳炎といって脳以外の臓器が感染し、その後ウイルスが全身に拡がり脳炎をきたすものもあります。

また、遅発性ウイルス脳炎といって感染後、数年から十数年の潜伏期を経て、脳炎を発症する場合もあります。

症状としては、初期では頭痛や発熱、嘔吐などです。

発症して数日後から意識障害や手足の麻痺、痙攣などの脳神経症状や精神症状が出現します。

治療で回復する場合もありますが、脳炎の予後は良くなく、重篤化すると生命に関わる場合や、麻痺、てんかん、精神障害などの後遺症が残ります。

 

ウイルス性脳炎における障害年金

障害年金とは原則20歳~64歳の方を対象とし、病気やケガが原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった方が、以下3つの要件を満たせば受給できる公的年金のことです。

  1. 初診日(ウイルス性脳炎に関連した症状で初めて医療機関を受診した日)が証明できる
  2. 年金保険料を一定期間納付し、未納がない
  3. 障害等級に該当している

 

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類あります。

 

障害基礎年金

初診日時点で国民年金に加入、もしくは初診日が20歳前の場合。

障害等級は1級と2級のみ。

月平均支給額は約7万円。

 

子の加算あり

18歳未満の子どもがいる場合、2人まで月額約1万8千円加算。

3人目以降は1人につき月額約6千円。

 

障害厚生年金

初診日時点で厚生年金・共済年金に加入。

障害等級は1~3級。

厚生年金に加入しているということは国民年金にも加入しているため、1級と2級に関しては障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給可能です。

月平均支給額は約10万円。

 

1級と2級では配偶者加算あり

配偶者がいる場合、月額約1万8千円加算。

配偶者自身は65歳未満、かつ所得制限があります。

 

ウイルス性脳炎の障害認定基準

ウイルス性脳炎による後遺症は多岐にわたり、症状は人によってさまざまです。

運動麻痺があり身体の機能に障害がある場合は「肢体の障害」を用いて認定されます。

てんかんや高次機能障害、精神障害がある場合は「精神の障害」を基準として用います。

どの基準にも共通していえることは、症状の程度だけでなく、日常生活にどの程度の支障が出ているかが大切です。

一人暮らしを想定した上で、日常生活において常に援助が必要な状態であれば1級。

部分的な援助が必要であれば、その程度によって2級となる可能性が高いです。

3級は初診日の時点で厚生年金・共済年金に加入していた方のみ対象ですが「労働に制限をうけているか」についても考慮されます。

 

ウイルス性脳炎で障害年金を申請する際のポイント

ウイルス性脳炎で障害年金を申請する際のポイントを解説していきます。

 

重要書類となる医師の診断書

申請にあたり最も重要な書類は、医師の診断書です。

診断書の作成を依頼する際は「一人暮らしを想定した上で」日常生活において支障がでている部分を明確に伝える必要があります。

ウイルス性脳炎の場合、精神の障害用の診断書を用いて申請することも多いですが、主治医は脳神経外科の医師という場合もあるでしょう。

脳神経外科の医師に、精神の障害用の診断書を依頼すること自体は問題ありませんが、書き慣れていないため、記載漏れがあったり、受給に繋がる大切なポイントを記載していなかったりすることがあります。

本来であれば上位等級となる可能性がある状態なのに、評価の低い結果がでてしまう可能性があるのです。

診断書を依頼する際は、事前にメモにまとめておくなどをして「一人暮らしを想定した上で」日常生活において支障がでている部分を明確に伝えましょう。

そして診断書が出来上がったら、記載漏れや事実と相違がないか、他の書類との整合性が取れているかをしっかり確認した上で提出してください。

 

病歴・就労状況等申立書も大切

病歴・就労状況等申立書とは、ウイルス性脳炎に関連する症状が出現してから現在に至るまでの受診状況や病状の経過と、日常生活や就労への具体的な影響について、ご本人・ご家族が記載する書類です。

一番重要な書類は医師の診断書ですが、病歴・就労状況等申立書も記載漏れがあると返戻されてしまう場合があります。

経過が長い場合は記載も大変になりますが、診断書の内容を補足するような形で、詳しく丁寧に記載しましょう。

他の書類内容と矛盾がないよう気をつけて下さい。

 

まとめ

障害年金制度は複雑な制度であり、申請も大変な作業です。

よくわからない、難しいからと諦める方もいます。

しかし障害年金が受給できるようになると、生活への負担が軽減できるかもしれません。

あきらめず、申請を検討してみてください。

申請準備に行き詰まったら、障害年金のプロである社会保険労務士に相談してみることをおすすめします。

 

お問い合わせください

障害年金の申請についてご不明な点などがございましたらどんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。

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①お名前、②生年月日(年齢)、③電話番号、④住所⑤初診日(医療機関に初めて受診した日)、

⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)

執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)