就職直後のうつ病発症・退職を経て、障害厚生年金3級(遡及)が認められたケース

相談者情報

20代男性・うつ病:アルバイト退職と同時に申請決意。障害厚生年金3級の遡及認定で経済的不安を解消

結果

  • 決定内容: 障害厚生年金 3級
  • 請求方法: 遡及請求(認定日請求)+事後重症請求
  • 受給額: 遡及分の一括支給あり(約4年分)
  • 調整事項: 過去の傷病手当金との調整なし(全額受給)
  • 受給額: 令和3年2月から約2,787,000円の受給決定

相談時の状況

ご相談者は愛知県在住の20代男性(K様)。 20歳の頃、関東での就職に伴い親元を離れましたが、就職直後の過度なストレスと環境変化により適応障害(後にうつ病)を発症。体調悪化により仕事を続けられなくなり、実家に戻って療養生活を送られていました。

ご相談頂いた時点(2025年3月)では、体調を見ながら週20時間程度のファミレスでのアルバイトをされていましたが、不眠や気分の落ち込み、強い不安感が続いており、「もう限界に近い」とのことで3月末での退職を決意されていました。

主治医には前年の11月に年金申請について相談されていましたが、「協力はするが、受給できるかは分からない(認定されるか微妙)」との慎重な見解を示されており、ご本人も「申請すべきかどうか」を非常に迷われている状態での初回相談でした。

社労士による見解

ヒアリングと資料を確認した結果、以下の「強み」と「課題」が見えてきました。

  • 【強み】初診日が厚生年金加入期間中であること: 発症時(初診日)が会社員時代であったため、「障害厚生年金」の対象となります。これにより、障害等級3級(国民年金にはない等級)であっても受給の可能性があり、ハードルが比較的下がります。
  • 【強み】遡及請求の可能性: 障害認定日(初診から1年6ヶ月後)の時点でも通院歴があり、症状が重かったことが推測されました。ここが認められれば、過去にさかのぼって一時金を受け取れる可能性があります。
  • 【課題】就労状況と医師の見解: 相談時点でアルバイトとはいえ就労していた事実は、審査において「労働能力あり」と判断されるリスクがありました。しかし、直近で「体調悪化により退職する」という事実は、就労困難性を裏付ける強い要素となります。

受任してから申請までに行ったこと

K様は退職後の生活費に強い不安を抱えておられたため、最短かつ確実な進行を心がけました。

  1. 初診日の証明と履歴の整理: 関東のクリニックから受診状況等証明書を取り寄せ、初診日を確定。会社員時代に発症していることを証明しました。
  2. 傷病手当金受給歴の確認: 過去に受給していた傷病手当金(令和2年3月まで)と、年金の遡及期間との重複を確認。計算の結果、年金の支払開始時期とうまくずれており、調整(減額)のリスクが少ないことを確認しました。
  3. 医師への診断書作成依頼(橋渡し): 主治医が少し慎重な姿勢であったため、ご本人の日常生活の困難さ(家族のサポートがないと生活が成り立たない点や、就労が継続できなかった経緯)を詳細にまとめた資料を作成し、診断書作成の参考にしていただきました。
  4. 病歴・就労状況等申立書の作成: ご本人のヒアリングに基づき、就職してすぐ倒れてしまった苦悩や、アルバイトを試みたものの継続できなかった実情を丁寧に記載し、就労意欲はあるものの身体がついていかない状況を訴えました。

6.結果に対する社労士の感想

申請から約2ヶ月半という早さで、無事に「遡及での3級決定」の通知が届きました。

今回の最大のポイントは、ご本人が「退職して休養に入る」というタイミングで決断されたこと、そして過去の傷病手当金との調整が発生せず、まとまった一時金(遡及分)が満額支給されたことです。これにより、当面の経済的な心配をすることなく、安心して療養に専念できる環境が整いました。

当初、ご本人は「迷っている」とおっしゃっていましたが、結果としてご自身の権利を正当に行使し、生活の基盤を取り戻すことができました。手続き完了後、ご丁寧な感想文をいただき、アンケートにもご協力いただけたこと、大変嬉しく思います。これからのK様の回復を心より願っております。

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