【社労士が解説】間質性肺炎で障害年金を申請する際のポイントを解説します
目次
間質性肺炎では症状が進行すると在宅酸素療法が必要となる場合があります。
在宅酸素療法では障害年金の3級以上は確定です。
症状の程度や日常生活状況によっては、さらに上位等級となる可能性があります。
今回は間質性肺炎で障害年金を申請する際のポイントについて社会保険労務士である私が解説していきます。
間質性肺炎とは
間質性肺炎とは、「肺自体」が炎症し、肺の壁が厚くなる病気です。
「肺の中」で菌やウイルスが増加し炎症を起こす、通常の肺炎とは全く病態が異なります。
間質性肺炎には原因不明の特発性間質性肺炎と、皮膚筋炎や関節リウマチなどの膠原病が原因で発症する二次性間質性肺炎があります。
症状としては咳や、息切れが出現します。
しかし初期の頃は無症状のことが多く、自覚症状が出てきた頃には既に病状が進行してしまっている場合も少なくありません。
完全治癒は難しく、長期間かけて進行する病気です。
進行が早いこともあり、急な呼吸困難で救急搬送されるケースもあります。
間質性肺炎における障害年金と受給額
障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金の2種類あります。
障害基礎年金
初診日時点で国民年金に加入、もしくは初診日が20歳前の場合。
障害等級は1級と2級のみ。
月平均支給額は約7万円。
子の加算あり
18歳未満の子どもがいる場合、2人まで月額約1万8千円加算。
3人目以降は1人につき月額約6千円。
障害厚生年金
初診日時点で厚生年金・共済年金に加入。
障害等級は1~3級。
厚生年金に加入しているということは国民年金にも加入しているため、1級と2級に関しては障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給可能です。
月平均支給額は約10万円。
1級と2級では配偶者加算あり
配偶者がいる場合、月額約1万8千円加算。
配偶者自身が65歳未満、年収が850万円未満、障害年金や老齢厚生年金、退職共済年金を受給していない、など一定条件があります。
間質性肺炎における障害認定基準
間質性肺炎では「呼吸器疾患による障害」を用いて認定されます。
在宅酸素療法では3級以上は確定
在宅酸素療法を使用している場合は、障害年金の3級以上は確定となります。
症状や検査成績及び日常生活状況によっては、さらに上位等級となる可能性があります。
審査で重視される「動脈血ガス分析値」と「予測肺活量1秒率」
間質性肺炎では「動脈血ガス分析値」と「予測肺活量1秒率」は審査上重要な検査成績となります。
具体的に、どれくらいの数値であれば何級という基準はありませんが、できる限り一番悪い時の検査成績を診断書に記載してもらうことで、上位等級となる可能性が高まります。
それが難しい場合は、一番悪い時の検査成績を別途添付しましょう。
一般状態区分表も大切
障害年金は病状だけでなく、日常生活状況も含めて総合的に認定されます。
それをわかりやすく区分しているのが一般状態区分表です。
ア~オの5段階に分けられた判定表により、日常生活や社会生活状況を判断します。
簡単に解説すると、寝たきり状態で活動範囲がベッド周囲に限られており、常に援助が必要な状態であれば1級。
寝たきりではないが日中も横になっている時間が多く、部分的に援助が必要な状態であれば、その程度によって2級の可能性があります。
3級は初診日の時点で厚生年金・共済年金に加入していた方のみ対象ですが「労働に制限をうけているか」についても考慮されます。
間質性肺炎で障害年金を申請する際のポイント
障害年金は書類のみで審査が行われます。
障害年金を申請する際にポイントとなる書類は以下の通りです。
【医療機関で記載してもらう書類】
- 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)・・・初診の医療機関と診断書作成を依頼した医療機関が同じ場合は不要。
- 医師の診断書
【本人やご家族が記載する書類】
- 病歴・就労状況等申立書(発症してから現在までの経過を記載する書類)
診断書においても記載漏れがあると、再審査や不支給に繋がる場合があるため注意が必要です。
各書類同士で整合性がとれていることを確認した上で提出してください。
二次性間質性肺炎の場合の初診日について
膠原病など、原因となる疾患があって二次性間質性肺炎となった場合、初診日は間質性肺炎を発症した日ではなく、原因疾患で初めて医療機関を受診した日となります。
重要書類は医師の診断書と病歴・就労状況等申立書
障害年金において最重要書類は医師の診断書です。
間質性肺炎では特に、「動脈血ガス分析値」と「予測肺活量1秒率」が重要視されており、診断書を受け取ったら記載漏れがないか、しっかりと確認しましょう。
在宅酸素療法を使用している場合は、開始日、施行時間、酸素吸入量も記載されているか確認が必要です。
他にも日常生活・社会生活において支障が出ている部分は全て医師に伝えましょう。
病歴・就労状況等申立書には診断書の内容を補足するような形で、病状の経過や受診状況、日常生活状況を詳しく記載してください。
併合認定で上位等級となる可能性がある
間質性肺炎以外の障害がある場合、例えば関節リウマチによる症状で日常生活動作に制限がある場合、肢体の障害と合わせて申請することで上位等級となる可能性があります。
呼吸器疾患による障害で2級、肢体の障害2級でも、合わせて申請することで障害年金1級に認定される場合もあります。
まとめ
間質性肺炎は進行速度が速いケースもあるため、申請準備は早めに行いましょう。
障害年金制度は複雑ですが、障害年金が受給できるようになると生活への負担が軽減できるかもしれません。
申請準備に行き詰まったら、障害年金のプロである社会保険労務士に相談してみるとスムーズです。
ぜひ、あきらめないで下さい。
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