【社労士が解説】腰椎椎間板ヘルニアで障害年金を申請する際のポイント
こんにちは社会保険労務士の下斗米です。
腰椎椎間板ヘルニアの方も日常生活に支障が出ている場合は受給の可能性があります。
今回は腰椎椎間板ヘルニアで障害年金を申請する際のポイントを解説していきます。
腰椎椎間板ヘルニアとは
人の背骨は24個あり、その骨と骨の間には椎間板というクッションがあります。
ヘルニアとは本来あるべき場所から飛び出している状態をいいますが、腰椎椎間板ヘルニアは椎間板というクッションが本来あるべき場所から飛び出して神経を刺激している状態です。
主な症状は急激な腰痛や下肢の痛み、しびれです。
ひどい場合は歩けなくなる程の強い痛みに襲われます。
安静にすることで次第に症状は緩和しますが、放っておくと更に神経を圧迫し、慢性的な痛みへと移行します。
コルセットを使用した保存療法や、必要に応じて神経ブロックの注射や手術療法が主な治療法です。
障害年金とは
障害年金とは原則20歳~64歳の方を対象とし、病気やケガが原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった方が、以下3つの要件を満たせば受給できる公的年金のことです。
- 初診日(腰椎椎間板ヘルニアによる症状で初めて医療機関を受診した日)が証明できる
- 年金保険料を一定期間納付しており未納がない
- 障害等級に該当している
障害年金は2種類あります。
障害基礎年金
初診日時点で国民年金に加入、もしくは初診日が20歳前の場合は「障害基礎年金」に該当します。
障害等級は1級と2級のみです。
等級によって違いはありますが、1カ月の平均支給額は約7万円です。
障害厚生年金
初診日時点で厚生年金・共済年金に加入していれば「障害厚生年金」に該当します。
障害等級は1~3級・障害手当金の4段階です。
厚生年金に加入しているということは国民年金にも加入しているため、1級と2級に関しては障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受給できます。
等級によって違いはありますが、1カ月の平均支給額は約10万円です。
腰椎椎間板ヘルニアの障害認定基準
腰椎椎間板ヘルニアでは「体幹・脊柱の機能の障害」の基準を用いて認定されます。
症状の程度と、日常生活にどの程度の支障が出ているかがポイントです。
腰椎椎間板ヘルニアの症状によって、日常生活において常に援助が必要な状態であれば1級。
日常生活において部分的な援助が必要な状態であれば、その程度によって2級に該当する可能性があります。
具体的な日常生活動作については以下のような動作があります。
- ズボンの着脱
- 靴下を履く
- 座る(正座、横すわり、あぐら、脚なげ出し)
- 深くおじぎをする
- 立ち上がる
これらの動作が「他者の援助なし」でどの程度できるかによって等級が変わります。
脊柱の他動可動域が通常の1/2以下に制限されている状態では3級に該当する可能性が高いです。
排尿障害など随伴する神経症状がある場合は、それらも考慮した上で総合的に認定されます。
腰椎椎間板ヘルニアで障害年金を申請する際のポイント
腰椎椎間板ヘルニアで障害年金を申請する際のポイントは3つあります。
1.腰椎椎間板ヘルニアにおける初診日に注意
腰椎椎間板ヘルニアのような身体の痛みの場合、最初に整体院や整骨院、鍼灸院に行く場合もあるでしょう。
しかし障害年金における初診日はあくまで、整形外科などの医療機関を初めて受診した日となりますので注意してください。
具体的には「受診状況等証明書」という書類をもって初診日を証明することになります。
腰椎椎間板ヘルニアでは長い経過を辿っている方もいます。
カルテの保管期間は基本的に5年なので、カルテが破棄されていたり、初診の医療機関自体が閉院していたりして、受診状況等証明書を記載してもらうことが難しい場合もあるでしょう。
しかし診察券やお薬手帳、生命保険を申請する際の診断書、障害者手帳申請の際の診断書、領収書、第三者証明など、いろいろな資料を基に初診日の証明が可能になる場合もあります。
あきらめず、初診日証明の手がかりとなるものを探しましょう。
2.重要となるのは医師の診断書
診断書の内容1つで不支給になったり、上位等級になったりと結果を大きく左右します。
診断書作成を依頼する際は、一人暮らしを想定した上で「日常生活において支障が出ている部分」を明確に伝えましょう。
腰椎椎間板ヘルニアでは陰部や肛門の痺れ、尿や便の出しにくさといった症状が出現する場合もあります。
随伴する神経症状も含めて認定されるため、医師に伝えていない症状があれば詳しく伝えましょう。
医師から障害年金について提案された場合はよいですが、そうでない場合、医師によっては障害年金についての知見がなく、診断書作成に抵抗を示す医師もいます。
診断書は等級や受給額を大きく左右する重要な書類です。
できるだけ協力を得られるよう、慎重に話を進めましょう。
3.病歴・就労状況等申立書も大切
病歴・就労状況等申立書もご本人・ご家族が記載することができる唯一の書類であり大切です。
3~5年おきに、発症から現在に至るまでの経過を記載します。
診断書の内容を補足するような形で、詳しく丁寧に記載しましょう。
診断書や受診状況等証明書の内容と矛盾がないように気をつけて下さい。
まとめ:障害年金の申請はプロに相談!
ヘルニアの方で日常生活で他者の介助が必要な場合は障害年金を受給できる可能性があります。
具体的には「座る」「立ち上がる」といった動作が一人では難しい場合です。
そのような方は一度当事務所にご相談ください。
障害年金制度は複雑になっていて、申請も大変な作業です。
よくわからない、難しいからと諦める方もいます。
腰椎椎間板ヘルニアは長期にわたってリハビリが必要となる場合も多く、継続的に医療費がかかってしまいます。
障害年金を受給できるようになると医療費の負担軽減にも繋がりますので、ぜひ申請を検討してみてください。
※相談内容について専門家としてお答えするため下記の項目を最初にお聞きいたします。
①お名前、②生年月日(年齢)、③電話番号、④住所⑤初診日(医療機関に初めて受診した日)、
⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)
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