【社労士が解説】休職中に障害年金を申請する際のポイントを解説します
病気やケガが原因で休職中の方は障害年金を受給できます。
しかし休職中というだけで受給が決定するわけではなく、前提条件や気をつけるべきポイントがあります。
場合によっては上位等級となる可能性もあるため、休職中で障害年金を検討されている方はぜひ最後までご覧ください。
休職中に障害年金を受給する際の注意点
障害認定日に休職中であることが必要
障害年金では初診日から1年6ヶ月を過ぎた日が「障害認定日」となり、その翌月から受給することができます。
この障害認定日が「審査をされる日」となります。
よって障害認定日に休職中であることが必要です。
休職中は障害等級3級に該当する
障害年金における障害等級の3級は「労働に制限をうけているか」を基準としています。
よって労働ができていない状態となる休職中は障害等級3級に該当します。
しかし3級があるのは「障害厚生年金」のみです。
障害厚生年金となるのは初診日時点で厚生年金に加入していて、かつ保険料をしっかりと納付している方が対象となります。
初診日時点で国民年金に加入している方は障害基礎年金となります。
障害基礎年金での障害等級は1級と2級のみとなり、3級はありません。
日常生活状況によっては上位等級となる
障害等級の2級以上では、「日常生活にどの程度の制限をうけているか」が基準となります。
休職中であることに加えて、日常生活においても何らかの支援が必要な状態であれば2級以上に該当する可能性もあります。
障害年金を申請するにあたっての前提条件
障害年金は障害等級に該当しているだけでは受給できません。
前提として以下2つの条件を満たす必要があります。
初診日を証明できる
初診日とは、申請する病気やケガで初めて医療機関を受診した日です。
初診日時点で、国民年金もしくは厚生年金・共済年金の保険料を納めている
年金保険料の未納がなければ、基本的にこの要件は満たしています。
免除期間は未納とはなりません。
初診日が20歳前の場合は年金保険料を納める義務がないため例外です。
休職中に障害年金を申請する際のポイント
提出する書類同士で整合性のとれた内容であるか確認する
障害年金は書類のみで審査が行われます。
障害年金を申請する際にポイントとなる書類は以下の通りです。
医療機関で記載してもらう書類
- 受診状況等証明書(初診日を証明する書類)・・・初診の医療機関と診断書を依頼する医療機関が同じ場合は不要。
- 医師の診断書
ご本人やご家族が記載する書類
- 病歴・就労状況等申立書(発症してから現在までの経過を記載する書類)
それぞれ書類同士で整合性のとれた内容になっているかを確認した上で申請しましょう。
休職中であることを証明する必要がある
精神疾患などの障害認定基準が曖昧なものについては、就労状況が審査において重要となります。
休職中ということは就労できていない状態ですが、退職はしていないため、在職中という位置づけから、厚生年金保険料は継続的に納付していることになります。
審査の際に、年金加入状況は確認されますので、年金記録上は就労できているものとみなされるでしょう。
よって申請の際は「医師の診断書」と「病歴・就労状況等申立書」に休職中であることを明記することが重要です。
場合によっては会社作成の「休職証明書」や、前年度の「源泉徴収票」を添付することで、より確実に受給に繋げることができます。
もし退職予定なのであれば、それも明記しましょう。
日常生活状況についても詳しく伝える
日常生活状況によっては上位等級となる可能性があります。
医師に診断書の作成を依頼する際は、「症状によって日常生活に支障がでている部分」を詳細に伝えましょう。
また病歴・就労状況等申立書にも、診断書の内容を補足するような形で、具体的に日常生活について記載しましょう。
傷病手当金を受け取っている場合
傷病手当金とは、仕事以外での病気やケガで働くことができない場合に、健康保険組合から支給される給付金制度です。
最長で1年6ヶ月受け取ることができます。
障害年金と傷病手当金を同時に両方満額受給することはできず、多く受給した分の傷病手当金を返還することになります。
そのため、傷病手当金を満額受給し終わってから、障害年金を申請しようと考えられている方がいますが、障害年金の手続きにはかなりの時間を要します。
場合によっては6ヶ月以上かかるケースもあるため、できるだけ早めに申請するようにしましょう。
まとめ
休職中に障害年金を申請する際は、休職中であることをしっかりと伝えることが重要です。
さらに、症状によって日常生活に支障が出ている部分についても、詳細に伝えることで上位等級となる可能性があります。
うつ病などの精神疾患によって休職中に申請し、2級に該当される方も多くいらっしゃいます。
障害年金は複雑な制度で、申請も大変な作業です。
しかし受給できるようになると生活への負担軽減に繋がります。
あきらめず、早めに申請しましょう。
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