【社労士が解説】障害共済年金の仕組み・申請方法とは?
障害共済年金は平成27年10月1日に「障害厚生年金と一元化」されました。
平成27年9月までに受給権が生じた障害共済年金については、一元化後の現在でも「障害共済年金として受給する」ことになります。
今回は、制度改正により複雑となっている障害共済年金について、社会保険労務士である私がわかりやすく解説していきます。
障害共済年金とは
障害共済年金とは、病気やケガが原因で日常生活に支障をきたしてしまった場合、以下3つの要件を満たせば受給できる公的年金です。
- 初診日(初めて医療機関を受診した日)が共済組合員期間中である
- 平成27年9月30日以前に障害認定日があり障害等級に該当している
- 年金保険料を一定期間納めており未納がない
障害認定日とは、初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内に症状が固定した場合はその日をいいます。
障害等級は1~3級・障害一時金の4段階です。
基本的には障害厚生年金と同じ仕組みで、1級と2級の場合は障害基礎年金も支給されます。
さらに障害共済年金は「職域加算」がプラスされるのが大きな特徴です。
職域加算は1~3級で支給されます。
対象の方は配偶者加算や子の加算も受給できるため、障害年金の中では一番手厚い給付といえるでしょう。
ただし、在職中は受給できないという独自のルールがあります。
申請窓口はご本人が加入している共済組合です。
パターン別に解説します
障害共済年金は平成27年10月1日に「障害厚生年金と一元化」されました。
制度改正により「初診日」と「障害認定日」がどのタイミングにあるかが重要なポイントとなります。
以下にパターン別に解説していきます。
「初診日は一元化前だが障害認定日は一元化後」の場合
初診日は平成27年9月30日以前で、障害認定日は平成27年10月1日以降という場合。
この場合は障害厚生年金を受給することになります。
「職域加算」の部分に関しては「経過的職域加算額」という名称となり、共済組合から支給されます。
よって申請窓口は、障害厚生年金の部分は年金事務所、経過的職域加算の部分は共済組合です。
経過的職域加算額の部分においては、在職中は支給停止となります。
「初診日、障害認定日ともに一元化後」の場合
初診日、障害認定日ともに平成27年10月1日以降の場合は「障害厚生年金」の扱いとなります。
一元化前の「職域加算」は廃止され、退職金に加算されることになりました。
障害厚生年金のルールに則るため、在職中でも受給可能です。
申請先は年金事務所となります。
障害共済年金の障害認定基準について
審査基準としては障害厚生年金と同様の基準を用いて審査が進められますが、各共済組合でルールが異なります。
必要書類も多く、受給までに時間がかかります。
各共済組合で認定結果に差がでてしまっているのも現状です。
障害共済年金の受給額について
障害共済年金はわかりやすくすると以下のような内訳になります。
【障害基礎年金(1級か2級の方のみ)】+【障害厚生年金相当額】+【職域加算】
これに加えて1級と2級の方のみ、対象の方は【子の加算】と【配偶者加算】が追加して受給できます。
障害厚生年金相当額と職域加算の部分は組合員であった月数と収入に応じて決定します。
よって、組合員であった期間が長ければ長いほど、収入が高ければ高いほど受給額は高くなります。
組合員月数が300月未満の場合は300月とみなして計算します。
障害共済年金の手続きの流れ
障害年金を申請する際は通常、全ての書類を1回で提出して申請します。
しかし障害共済年金の申請は、「2段階」に分かれています。
1回目の申請で、診断書や病歴・就労状況等申立書などを提出し障害等級の決定を受けてから、2回目で請求書や住民票、課税・非課税証明書などを提出し具体的な受給額が決定する形です。
また、障害基礎年金も受給できる方は、障害共済年金の審査が終了した後に、ようやく年金事務所に情報が届くため、すべて受給できるまでは相当な時間を要します。
まとめ
障害共済年金は障害厚生年金と一元化されたことにより、以前よりも少しシンプルになりました。
しかし、まだ対象者の多くは初診日が一元化前です。
ただでさえ複雑な障害年金制度ですが、障害共済年金は各共済組合で必要書類が違ったり、審査に時間を要したりと、さらに大変な作業となります。
在職中は支給停止だからと後回しにしていると、申請から受給まで時間がかかるため、損をしてしまうことになりかねません。
場合によっては老齢年金よりも手厚い給付が受けられる制度ですので、早めに申請するようにしましょう。
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①お名前、②生年月日(年齢)、③電話番号、④住所⑤初診日(医療機関に初めて受診した日)、
⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)
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