【社労士が解説】障害年金と傷病手当金との違いとは?併給できるの?徹底解説します!
目次
ケガや病気などで制限がある場合に受給できる制度に、障害年金と傷病手当金があります。似ている制度ですが、大きな違いがあります。今回は障害年金と傷病手当金の違いや、傷病手当金の条件について解説します。
障害年金とは
障害年金とはケガや病気によって日常生活に制限がある場合に受給できる年金です。条件はありますが、ケガや病気の状態が障害と認定された場合に、等級にしたがって年金が支給されます。
障害年金を申請するには、ケガや病気で初めて病院を受診した日に、年金に加入している必要があります。また、保険料を納付していなければなりません。この2つの条件を満たして初めて障害年金を申請できます。
傷病手当金とは
傷病手当金は仕事以外でケガや病気になり、働くことができない場合に受給できる給付金制度です。最長で1年6ヶ月もらうことができます。
傷病手当金の条件は協会けんぽ(全国保険協会)・健康保険組合・共済組合の健康保険に加入している必要があります。これらの保険に加入している人でも、扶養で保険に加入している人は対象外です。業務上でケガや病気になった場合も労災(労働災害補償保険)から支給を受けるため対象外となります。
傷病手当金は標準報酬月額÷30日の3分の2相当を受け取ることができます。目安となる金額は下記の通りです。
月給 |
受給額(日額) |
1ヶ月分(30日) |
1年分(365日) |
20万円 |
4,447円 |
133,400円 |
1,623,200円 |
26万円 |
5,780円 |
173,400円 |
2,109,700円 |
30万円 |
6,667円 |
200,000円 |
2,433,500円 |
36万円 |
8,000円 |
240,000円 |
2,920,000円 |
41万円 |
9,113円 |
273,400円 |
3,326,200円 |
47万円 |
10,447円 |
313,400円 |
3,813,200円 |
障害年金と傷病手当金の違い
ケガや病気が原因で受給できるという点では同じですが、障害年金と傷病手当金には大きな違いがあります。下記の表にまとめました。
|
傷病手当金 |
障害年金 |
支給開始時期 |
休業して最短で4日目以降 |
原則、初診日から1年6ヶ月 |
対象となる状態 |
仕事ができない状態 |
障害等級による状態 |
支給期間 |
通算で1年6ヶ月 |
障害状態の期間 |
支給額 |
標準報酬月額の3分の2 |
等級や生計維持者の人数など |
障害年金と傷病手当金は同時に受給できる?
結論から言うと同時に受給できます。ただし、障害年金と傷病手当金の両方の全額を受給することはできません。具体的には、障害年金が優先的に支給され、傷病手当金は差額が支給されます。一般的な流れは下記の通りになります。
1.傷病手当金が全額支給される。
2.障害年金の支給が決定し他場合、傷病手当金が支給されている場合でも障害年金が全額支給される。
3.健康保険から、障害年金と傷病手当金が重複している分の傷病手当金の返還するよう請求される。
4.重複している傷病手当金を返還する。
例えば、傷病手当金の日額が7,000円としましょう。障害年金の年額が108万円で360分の1が3,000円の場合、傷病手当金の3,000円を返還し、4,000円は傷病手当金として受け取ることができます。
傷病手当金を受給中で障害年金の申請を検討する
傷病手当金をすでに受給している人が障害年金も申請することを検討する場合、どのタイミングで障害年金を申請するかはとても重要なポイントになります。傷病手当金の受給金額は標準報酬月額の3分の2のため、人によって金額は異なります。傷病手当金よりも障害年金の受給金額が大きい場合、傷病手当金が受給できなくなります。自分に合ったプランを検討しましょう。
障害年金の申請を早めに行うメリット
障害年金よりも傷病手当金が多く受給される場合、障害年金の申請をできるだけ早く行うことには3つのメリットがあります。
1.手続きがスムーズになる
障害年金の申請にはさまざまな書類の提出が求められます。初診日を証明したり、医師の診断書などが必要になります。傷病手当金を受給中に申請を始められれば、初診日を証明しやすく、病院側の対応もスムーズです。申請者も初診日から時間があまり経っていないため、書類の記載がしやすく、申請のストレスを軽減できます。
2.障害年金を受給できるか早めに知れる
傷病手当金を受給できても、障害年金を受給できるか分かりません。障害年金が受給できるか早めに知れれば、今後の生活設計を早めに検討できます。ケガや病気が長期化する場合の生活設計を早めに立てられることは安心にもつながります。
3.障害年金の手続きは時間がかかる
障害年金を申請しても支給決定から実際の入金までには6ヶ月以上かかるケースがあります。傷病手当金の終了に合わせて障害年金を申請しても手続きに時間がかかるため、可能な範囲で早めに申請することで、傷病手当金から障害年金への移行する空白の期間(収入が無い期間)をできるだけ減らすことができます。
どのタイミングで障害年金の申請をするかは申請のプロに相談することで、自分にいちばん合ったタイミングを提案してもらうことができるでしょう。
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⑥加入年金制度の種類と加入状況、⑦傷病名(診断傷病名)
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