うつ病で病院に行くお金がないときの解決策|医療費削減から将来の収入確保までを社労士が解説
目次
あなたは、
・「うつ病で働けなくなり、収入が絶たれてしまった」
・「病院に行くことすら難しくなってきた」
このようにお悩みではありませんか?
しかし、経済的な不安から受診を諦める必要はありません。
本記事では、医療費を大幅に軽減できる制度や、将来的な生活を支える支援制度について、社労士がわかりやすく解説します。
うつ病で利用できる医療費を安くする制度
まず、うつ病の治療にかかる医療費を少しでも抑えるために使える制度を3つ紹介します。
自立支援医療制度
治療のためにかかる医療費自己負担額を減らせる制度です。
【対象者】
うつ病などの精神疾患で継続した「通院治療」が必要な方
【支援内容】
・精神科の医療費が原則1割負担
・世帯所得に応じて、自己負担月額上限を超えた場合は支払い不要
・薬局での薬代も対象
市区町村の担当窓口で申請します。医師の診断書が必要で、審査後に受給者証が交付されれば利用開始となります。
精神障害者保健福祉手帳
精神疾患により生活に支障があることを公的に証明する手帳です。障害の程度により1~3級に分けられ、税金の軽減や公共料金の割引などの支援を受けられます。
【対象者】
うつ病などの精神疾患により、長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方
【支援内容】
・公共交通機関の運賃割引
・携帯電話料金の割引
・税金の控除
・自治体独自の医療費助成(地域により異なる)
市区町村の窓口で申請します。医療費に直接関係しない部分も多いですが、手帳を持っていることで交通費の割引や、自治体によっては医療費助成が受けられる場合もあります。
高額療養費制度
月の医療費が高額になった場合の負担軽減制度です。
【対象者】
健康保険に加入している全ての方
【支援内容】
・1カ月の医療費が一定額を超えた場合、超過分が後から返還
・低所得者の場合は月額35,400円が上限(令和7年7月時点)
・事前に「限度額適用認定証」を取得すれば、窓口での支払いから軽減
加入している健康保険の窓口(協会けんぽ、健康保険組合など)で申請します。
参考:高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)|全国健康保険協会
うつ病でお金がない期間の生活を長期的に支える「障害年金」
医療費の軽減制度だけでは、まかないきれない生活費は、「障害年金」によって補える可能性があります。
ここでは、うつ病で長く働けない状態が続いている方に向けた、生活費の支援制度について解説します。
障害年金とは
障害年金とは、原則20歳~64歳で病気やケガによって生活や仕事に支障のある方が、以下3つの要件を満たせば受け取れる公的年金です。
- 初診日(うつ病の症状で初めて医療機関を受診した日)が証明できる
- 年金保険料を一定期間納付していて未納がない
- 障害等級に該当している
特に、働けない、日常生活に大きな支障がある場合には受給できる可能性があります。
参考:障害年金|日本年金機構
障害年金の種類と受給額
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
初診日時点で国民年金に加入していれば「障害基礎年金」となり、等級は1級と2級があります。障害基礎年金の1カ月の平均受給額は約7万円です。
初診日時点で厚生年金・共済年金に加入している方は「障害厚生年金」に該当し、等級は1~3級と障害手当金の4段階です。障害厚生年金の1カ月の平均受給額は約10万円となります。
うつ病での障害年金の認定基準
うつ病による障害年金の受給は、就労の困難さや日常生活の制限度合いが主な判断基準です。
「入院していないとダメ」「診断名が重くないと対象外」ということはありません。
むしろ、通院中であっても生活に支障があり、働ける状態にない場合は、十分に受給対象となり得ます。
障害年金の申請から受給までの流れ
- 初診日の確認(いつ・どこの病院で受診したか)
- 年金事務所で保険料の支払い状況を確認
- 主治医に診断書を依頼
- 申請書類の作成・提出(年金事務所 or 社労士に依頼)
- 審査・結果通知(通常は3カ月〜半年)
障害年金制度を利用する際によくある質問
障害年金の受給を検討する際に、よくある質問にお答えしていきます。
障害年金を受給したら周囲の人にバレますか?
障害年金は、原則として周囲の人に知られることはありません。職場に知られることも、自ら話さない限りはありません。
ただし、健康保険組合を通して申請した場合や、会社に書類作成の協力を依頼した場合は、会社に知られる可能性があります。心配な場合は、年金事務所や社労士に相談し、申請方法について確認することをおすすめします。
将来働けるようになったら返さないといけないですか?
いいえ、将来働けるようになったとしても、受け取った障害年金を返還する必要はありません。
症状が改善して働き始め、年金の受給対象となる障害状態に該当しなくなった場合は、支給が停止されることはありますが、それまでに受け取った年金を返還する必要はありません。
審査に落ちたらどうなりますか?
もし審査に落ちてしまっても、再申請することは可能です。
審査結果に納得がいかない場合、不服を申し立てることもでき、改めて書類を見直して申請し直すこともできます。
ただし、一度審査に落ちてしまうと、次に申請する際には、なぜ落ちたのか、何が足りなかったのかを正確に把握し、その点を補強する必要があります。これは、専門的な知識がないと非常に難しい作業です。
そのため、最初から障害年金に詳しい社労士に相談して申請を進めることをおすすめします。
うつ病で病院に行くお金がないときは障害年金を検討しましょう
障害年金は遡って最大5年分の年金を受け取れる場合もあります。障害年金の手続きは複雑ですが、一人で悩まず社労士に相談することで、スムーズな申請が可能になります。
お金の心配で治療を諦めることなく、利用できる制度をフル活用して体調回復に専念しましょう。
障害年金の申請についてご不明な点などがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので遠慮なくご連絡をいただければと思います。
メール、LINE、お電話(土日も対応)、いずれの方法でも結構ですのでお問い合わせをお待ちしております。
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