【社労士が解説】人工関節または人工骨頭をそう入置換された方へ障害年金について解説します

「人工関節または人工骨頭(以下、人工関節)」をそう入置換された方は、障害年金における障害等級は原則「3級」に該当します。

今回は人工関節をそう入置換された方へ、社会保険労務士である私が障害年金について解説していきます。

 

人工関節そう入置換とは

人工関節そう入置換とは、人工関節置換術のことで、主に変形性関節症や関節リウマチなどで行われます。

関節がすり減り痛みが強くなると、関節の動きが悪くなり、歩きにくくなってきます。

このような障害が起きた関節を人工関節に置き換えることで、痛みを取り除くことができるのです。

人工関節は膝、股関節が多いですが、肩や肘にも用いられます。

 

障害年金とは

障害年金とは原則20歳~64歳の方を対象とし、病気やケガが原因で日常生活や就労に支障をきたしてしまった方が受給できる公的年金のことです。

障害年金には2種類あり、初診日時点で国民年金に加入していれば「障害基礎年金」に該当し、障害等級は1級と2級があります。

初診日時点で厚生年金あるいは共済年金に加入していれば「障害厚生年金」に該当し、1~3級まであります。

人工関節では原則として3級に該当しますが、3級があるのは障害厚生年金のみとなります。

 

障害者手帳とは違う制度であり、基準も異なるため注意が必要です。

 

人工関節で障害年金を受給するための要件

障害年金を受給するためには、まず前提として以下2つの要件を満たす必要があります。

 

初診日が証明できる

人工関節が必要となるに至った症状で、初めて医療機関を受診した日が初診日となり、それを証明する必要があります。

 

年金保険料を一定期間納付している

年金保険料の未納がなければ、基本的にこの要件は満たしています。

免除期間は未納とはなりません。

初診日が20歳前の場合は年金保険料を納める義務がないため、納付要件は問われず、通常は障害基礎年金扱いとなります。

 

人工関節における初診日の注意点

初診の医療機関にて人工関節そう入置換に至ったという場合は、医師の診断書で初診日を証明できます。

しかし、初診の医療機関と手術を受けた医療機関が異なる場合、初診の医療機関にて「受診状況等証明書」を記載してもらう必要があります。

 

初診日から長い年月を経て、人工関節そう入置換に至った場合

人工関節の耐用年数を考え、なるべく人工関節そう入置換を遅らせることも多いです。

よって初診日から長い年月を経て、手術に至ったというケースも多々あります。

カルテの保管期間は基本的に5年なので、カルテが破棄されていたり、医療機関自体が閉院していたりして、受診状況等証明書を記載してもらうことが難しい場合もあるでしょう。

しかし診察券やお薬手帳、生命保険を申請する際の診断書、障害者手帳申請の際の診断書、領収書、第三者証明など、いろいろな資料を基に初診日の証明が可能になる場合もあります。

あきらめず、初診日証明の手がかりとなるものを探しましょう。

 

初診日が幼少期の場合

幼少期に先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全を指摘された後、長期間受診の必要がなく通常の日常生活を送っていた場合「再受診した日が初診日と認められる」ことがあります。

受診の必要がなかったということは、医学的には治癒していなくても社会的には治癒しているとして「社会的治癒」の状態とみなされるのです。

初診日が20歳前の場合、障害基礎年金の扱いとなってしまいますが、社会的治癒が認められ再度受診した日に厚生年金・共済年金に加入していれば、3級がある障害厚生年金を受給できます。

ただし社会的治癒は無条件に認められるものではなく、根拠となる書類を集めなければなりません。

 

人工関節における障害認定日の特例

障害年金は、障害認定日の翌月分から受給できます。

障害認定日とは通常「初診日から1年6ヶ月を過ぎた日」を指します。

しかし、初診日から1年6ヶ月以内に人工関節をそう入置換した場合、特例として、その日(手術日)が障害認定日となります。

よって手術をした翌月から障害年金を受給することが可能です。

 

初診日から1年6ヶ月を過ぎて人工関節そう入置換した場合は、通常通り「初診日から1年6ヶ月を過ぎた日」が障害認定日となります。

この場合は「事後重症」扱いとして請求日の翌月分からの受給になることがほとんどです。

 

人工関節における障害認定基準

人工関節をそう入置換された事実があれば、障害年金3級は確定となります。

しかし人工関節をそう入置換後、状態が悪化した場合は2級以上となる可能性があります。

その際の障害認定基準としては「日常生活にどの程度の支障が出ているか」がポイントとなります。

日常生活動作については、下肢では片足で立つ、屋内外での歩行、立ち上がり、階段昇降などが基準です。

上肢では食事や洗面での動作、トイレ内で必要な動作、上衣の着脱動作などです。

これらの動作で、常に援助が必要、もしくは部分的な援助が必要な状態であれば2級以上に該当する可能性があります。

 

まとめ

人工関節では原則、障害年金における障害等級3級に該当します。

しかし、状態が悪化した場合は2級以上に該当する可能性もあります。

「初診日時点で国民年金に加入していたから障害年金は受給できない」と、あきらめるのは早いかもしれません。

 

また「初診日時点で厚生年金・共済年金に加入していたから簡単に申請できる」と申請を遅らせてしまっては、受給できる総額が減ってしまいます。

初診日から1年6ヶ月経過後に人工関節をそう入置換し、その後1年以上経ってから障害年金を申請した場合、遡及請求はできない規定となっており、申請した翌月分からの受給となります。

障害年金は特例や細かな規定があり、複雑な制度です。

満額受給できるよう、できるだけ早めに申請してください。

 

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執筆者紹介

下斗米 貴彦
下斗米 貴彦
社会保険労務士 下斗米 貴彦(しもとまい たかひこ)

宮城県仙台市を中心に全国で障害年金申請をサポートしている。累計相談実績約600件(2024年6月現在)